テキストサイズ

恋人は社長令嬢

第4章 蝶よ花よと育てたつもりが

埜々香が在籍する総務課に行くと、運良く、埜々香がはるか遠くを歩いているではないか。

「おっ!埜々……」

呼ぼうとして手を挙げると、埜々香はキョロキョロと、周りを見渡した後に、すっと左側へと、曲がってしまった。

「何だ?確かあそこは、非常階段がある場所じゃないか?」


まあ、いい。

二人っきりになれるのなら、かえって好都合だ。


春樹は、そのまま廊下を歩いて、埜々香が曲がった角で、自分も左に曲がった。

案の上、埜々香は外の非常階段にいる。

少し開いているドアから、埜々香の後ろ姿が見えた。


「の・の・か♪」

驚かせようと思って、そっと近づくと、埜々香の他にもう一人の声がする。

「今日は、泣きに来たんじゃなんだ。」


お、男?

埜々香が 男と二人で会ってる?


春樹の方がびっくりして、壁に自分の身体を付けると、耳を澄ませた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ