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終焉告げる金色の蝶と死想の少女

第3章 金色の蝶

その男は夜を纏っていた。呼吸をするように、それは必然に。

金色の蝶と呼ばれるわりに華やかさはないが、絢爛(けんらん)だった。その煌めきは、一体どこから滲み出ているのだろうか。


こんなにも美しい光の世界にいるのに、けっして霞む事はない。


男は鳥居の天辺に腰掛けたまま、月伽に問いかける。


「都市伝説は、美しい嘘なんですよ。それを語る事ができる人は美しいですし価値がある。

そうは思いませんか?」


「そうですね。都市伝説として、語られる物語には泡沫の美しさがあります。だからこそ心惹かれ魅了されてしまうのかもしれません」

「儚くて美しいものほど、人は追い求めてしまう。例えばそうですね……“死”とか」


美しい男の唇から零れた言葉に、月伽の心臓は恋にも似た歪な熱を持つ。


翠緑の蝶は見守るように沈黙している。主の生き生きとした姿のせいかもしれない、いつもの妖しい笑みを貼り付けているのは、ちっとも変わりないのだが。


「ローエン様とは、いい関係が築けそうです」

「それは光栄です。死を否定的に想う者が遥かに多いですから。今からよろしければ、ご一緒にお茶などいかがですか?」

「喜んで」


夜を纏う男――ローエンは微笑み、パチンと指を鳴らす。


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