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終焉告げる金色の蝶と死想の少女

第4章 零れ落ちた者と傍観者

風が庭園を駆け抜けてゆく。穏やかだった花の海を目醒めさせるように、大きく花弁を揺らす。

男は沈黙したままだ。すなわちそれは肯定の意だと希石は捉え、急かす事もなくただ、その先を待つ。



「これを。――いつかきっと、役に立つでしょうから」



男がパチンと指を鳴らせばトランクケースが、突然何もない空間からぽんっと現われ慌ててそれを受け止める。



「おい――」



何か言い募ろうとしたが、それが叶うことはなかった。金色の蝶となって、東の方角へと飛んでいってしまった。一言二言文句を言われる前に退散したのかもしれないが。





今となっては、泡沫の夢。



あまりにも非現実で、残酷な物語の結末。



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