終焉告げる金色の蝶と死想の少女
第2章 泡沫市
今宵は満月。
花弁のような羽をひらひらさせながら、翠緑の蝶が天から舞い降りる。降り立った先は、池をじっと見つめる少年の肩。
『――柊(ひいらぎ)。どう?』
「そろそろだね」
『そろそろなのね』
「楪(ゆずりは)は何処までいってたの」
『月まで』
「自由に彷徨うのはいいが、僕だって羽をのばしたい」
『ごめんね』
ふわりと蝶は肩から離れて、蝶柄の翠緑の着物を纏った少女へと姿を変える。
「ここは、わたしが見ててあげるから」
「頼むよ」
少年もまた、蝶へと姿を変える。蒼紫の羽を優雅に広げて、夜空へと消えてゆく。
夢幻のような現でこの光景は、泡沫市ではよくあることだ。
これはまだ物語の、ほんのヒトカケラでしかない。
花弁のような羽をひらひらさせながら、翠緑の蝶が天から舞い降りる。降り立った先は、池をじっと見つめる少年の肩。
『――柊(ひいらぎ)。どう?』
「そろそろだね」
『そろそろなのね』
「楪(ゆずりは)は何処までいってたの」
『月まで』
「自由に彷徨うのはいいが、僕だって羽をのばしたい」
『ごめんね』
ふわりと蝶は肩から離れて、蝶柄の翠緑の着物を纏った少女へと姿を変える。
「ここは、わたしが見ててあげるから」
「頼むよ」
少年もまた、蝶へと姿を変える。蒼紫の羽を優雅に広げて、夜空へと消えてゆく。
夢幻のような現でこの光景は、泡沫市ではよくあることだ。
これはまだ物語の、ほんのヒトカケラでしかない。