I‘m yours forever
第5章 美月は何も知らなかった 後編
「ああ...........その後、私を養子として引き取りたいと申し出た現在の母の意見を尊重した結果、養子縁組が成立し、摘出子となった私は、正式に日比谷家の養子となったわけだ。断じて許せん事だが、その後私の名前も改名させられた。」
「改名も義理のお母様の希望...ですか?」
「そうだ。まあ...ほぼ脅迫だったらしいが....」
「脅迫?」
「不倫を無かった事にする代わりに、愛人の子供を養子として引き取り、更に不慮の事故死を遂げた子どもと同名に改名しろと要求されたそうだ。」
「.......それってつまり......」
「待望の我が子となる筈だった息子の代わりに、俺は引き取られたという事だ。」
「....その事実を黎一さんは、いつ...?」
「丁度青年期に差し掛かった頃、養母から突如伝えられた。13の頃だ。」
「.......どうしてそんな酷い事を...亡き息子の代わりに黎一さんを引き取ったとはいえ、まだ幼い子供に真実を告げたら、精神的に深く傷ついてしまう事は容易に想像が出来る筈なのに...」