I‘m yours forever
第5章 美月は何も知らなかった 後編
「あの女が愛情深ければ、そういった配慮も出来たかもしれんが、実際俺は利用価値がある為引き取られただけだ。実の息子同様に接する意味が無くなれば、隠し通す必要性も優しくする必要性も無かったんだよ。まあ...俺の誕生祝いを毎年1月に行う時点でおかしいとは思っていたが....。」
「.....1月....?12月では無く?」
「クリスマスを祝う事はあったが、それだけだ。誕生月でもない1月に毎年何故祝うのか指摘した際、自分は病弱だからつい間違えてしまうと繰り返し言っていたが、正直不審に思っていた。亡くなった玲一の誕生日を祝っていただけで、お前の誕生日を祝っていたわけでは無いと、俺への興味・関心が薄れた義母にハッキリ告げられて、成る程と思ったよ。」
「身勝手すぎます....13の子どもに言うべき言葉じゃない....。」
「仕方ない。強欲かつ傲慢な人間に成り下がった女だ。全くマトモな母親では無かったが、体裁を取り繕う事に関しては人一倍長けていた為、世間からはごく一般の母親だと思われていた。三者面談の際も、あの女は俺の担任教師に対し、息子の自立心の強さを尊重したい一方、親への相談が一切無いのは寂しい等と嘘八百を並べていた。世間体を繕う為とはいえ、家庭では徹底的に無視を決め込む癖に、よく心にも無い嘘を吐けるものだと心底馬鹿にした記憶がある。まあ父親も外面を飾る事を重要視する人間だった為、同族だったんだろう。」