I‘m yours forever
第1章 美月、傷つく
「違うんです....黎一さんは何も悪くないんです。本当ごめんなさい。時間もお金も愛情も沢山かけてもらったのに、私、お礼どころか文句ばっかり......。」
「そんな事はどうだっていい。そもそも今回の小旅行は私が計画した。去年の辛い思い出が少しでもお前の中で上書きされれば良いと思ったんだ。別にお前が心を痛める必要性は無い。気にするな。今問題なのは、それがお前の重荷になってしまった事だ。押し付けてしまってすまなかった。」
そう言われて今度は私が焦った。
俯いていた顔を上げると、必死に誤解を解こうと口を開く。
「!ち、違います!黎一さんとの旅行が嫌だったわけじゃないんです。普段行けない場所へ連れて行って下さって、本当に嬉しかったんです!私はただ、しょうもない事で悩んで、食欲が無くなって黎一さんを心配させた挙句、旅行を台無しにしてしまった自分が情けなくなってしまったんです....。」
「美月、まだ旅行は終わっていない。夕飯程豪華ではないかもしれないが、明日も朝食は出る。行きたい場所が有れば何処へでも連れていくつもりだ。そう悲観的になるな。」
「すみません....そうですね....黎一さんの言う通りです。」
「そうだ。ところで、そのしょうもない事とは何だ?」
黎一さんの誤解を解いて、安堵していた私だったが、そもそもの原因を聞かれると、途端に恥ずかしくなってしまった。
「いえ.....その.....本当に馬鹿みたいな事だったんです。泣くような事でも無かったですし...もう大丈夫です。」
「余計気になる。私に言いづらいのか?」
「言いづらくは無いんですけど....その....呆れられるというか.....。」
「呆れるわけがない。有耶無耶にされた方が困る。話してくれないか?」
ここまで言われてしまうと、私も言わざるを得なかった。
呆れるわけが無い
と言いつつも、呆れそうな気がする。
そう思いながらも私は、口を開いた。