I‘m yours forever
第1章 美月、傷つく
「.........。抱かないんですか?」
一瞬黎一さんの言った言葉の意味を理解出来ずに私は固まってしまった。
だが徐々に、彼は「今日はお前を抱かない」と言外に告げたのだと理解してしまえば、そう質問せずにはいられなかった。
「そうだ。疲れているお前を抱きたくは無い。私の体力に付き合わせてしまえば、お前の身体は持たないだろう。」
「疲れてません。勝手に決めつけないで下さい。」
普段なら嬉しい筈の彼の言葉が今はとても苦痛に感じ、ついつっけんどんに言い放ってしまった。
「.........。すまない、抱いて欲しかったのか?気づいてやれず悪かった。」
黎一さんはすぐさま本をテーブルに置くと、
珍しく苛立っている私へと視線を移す。
その表情は、かなり動揺していた。
まただ....。
また私、彼を困らせてしまった....。
最悪だ。
「いえ、こちらこそすみません、黎一さんの言う通り、私、疲れているのかもしれません.........。」
だからさっさと寝ようと思います。
そう続けようと思ったのに、先に脆くなった涙腺が決壊してしまった。
これでは顔を上げられない。
顔を俯かせても、いずれ真正面に居る彼へ泣き顔を晒す羽目になる。
面倒でワガママな女。
だから黎一さんだって抱きたくないんだよ。
「美月....?.......................。どうした、何故泣いているんだ?何か気に障るような事をしてしまったか?」
自分を卑下する言葉が次から次へと浮かんでくる中、遂に私が泣いている事に黎一さんは気付いてしまったようだった。
焦りが滲んだ彼の言葉から、顔を見なくても狼狽しているのだろうと思った。