I‘m yours forever
第1章 美月、傷つく
そういった流れから、本日彼とのお出かけが決定した。
本当なら、華やかなクリスマスの街並みを黎一さんと一緒に見ながら、お買い物を楽しみたかった。
けれども、彼は家でお留守番をしてもらっている。
大変心苦しいが、仕方がない。
理由は、私が何となく手に取った物や、ただ気になって足を止めた商品を、即カゴに入れて片っ端から買おうとする黎一さんについていけないからだ。
買うかどうかも決まっていない商品がそのままお会計場に行くのは焦るし、何より彼を財布代わりに使っているようで嫌なのだ。
「嬉しいんですけど、自分で買いたいので、大丈夫です」と何度か丁重にお断りしているのだが、私が遠慮していると勘違いしているのか、「お前は謙虚だな」と言って中々治してくれなかった。
10月末、草津温泉に新婚旅行の為訪れた時も同じような事をされてしまった。終いには我慢出来なくなってしまい、「もう!一人で買えるって言ってるじゃないですか!しつこい!」と声を張り上げてしまった。
言った直後、流石にまずいなと思った私は即座に謝った。
そして「すまない...その...本能に近い癖だ」と返ってきた彼の破茶滅茶な言葉に、いやどんな癖だよ!とツッコミを入れたくなった。
だが過去を回顧しているような、何とも形容し難い複雑な表情を浮かべながら言われてしまったので、
「そ、そうなんですね...これから治っていくといいですね。」とやんわりフォローを入れてあげるのが精一杯だった。