I‘m yours forever
第2章 美月、奮闘する
「......黎一さんだって私の誕生日が3/12日だって知った時、滅茶苦茶動揺して婚約指輪を買い直すか?みたいな話、散々言った癖に....」
「そりゃあ落胆する。故意では無いにしても、よりにもよってその日にお前を強姦したんだからな。」
「黎一さん、私もうあの時の事に関して何の怒りも悲しみも無いです。水に流してます。気にしなくていいですから。それに私、結局誕生日でも無いのに、貴方から沢山プレゼントも貰いましたし、十分ですから。」
「駄目だ。如何なる理由があろうとも、お前の記念すべき日に性暴力など、あり得ない。一生かけて償わなければ。」
「ちょ、ちょっと待って下さい!その事はもういいって言ってるじゃないですか!それに私の誕生日は記念すべき日で、自分の誕生日は、たかが誕生日ってどういう事です?」
「.....一本取られたな。みかんに気を取られすぎたか。」
黎一さんは、そう言いながら白い筋を綺麗に取ったみかんを口に放り込んだ。
「.......何かプレゼントさせてくれませんか?欲しいものとか、何でもいいので...。」
みかんに集中しすぎた為に、言い負かされた彼を不覚にも可愛いと思ってしまった私は、それ以上彼を問い詰めようとは思えず、逆に過ぎてしまった彼の誕生日をお祝いしたいという気持ちが膨らんだ。
「.....欲しい物か....。無いな特に。満ち足りている。」
「そんな事言わずに、物じゃなくても何でもいいですし....。」
「そう言われてもな.....................いや、1つあったな。物ではないが。」
暫し考え込んだ表情を見せた後、こちらに顔を向けた黎一さんの瞳は意地悪く光っていた。
「な、何でしょう....?」
不敵な笑みを浮かべる彼に何だか嫌な予感がしながらも、そう尋ねながら私は黎一さんとお揃いの湯呑みに手を付けた。