I‘m yours forever
第2章 美月、奮闘する
「お前に罵られてみたい。」
「ブッ!!!!!!」
予想の斜め上すぎる彼の発言に私は盛大にお茶を吹き出した。
こたつの天板に勢いよく茶の飛沫が降りかかる。下手すると黎一さんの顔面にも多少、降りかかったかもしれない。
「出来れば、お前との情事の最中に。お前を女王として讃えたい。」
「....お正月から何言っているんですか?笑えない冗談と色ボケは大概にして下さい!」
「私は至って真面目だ。それに姫はじめという言葉があるだろう。元旦から精力的に活動して何が悪い?」
いけしゃあしゃあと答える黎一さんに、私は言葉が詰まりそうになるが、これで通されてはいけないと、最も彼の痛手となるであろう言葉を使って、彼に問い掛けた。
「そもそも黎一さん、Sですよね?罵られたいって言ってましたけど、M側に立つって事ですよ?出来るんですか?」
「私はスイッチャーだ。出来る。」
「.....スイッチャー...?」
「SとM、両方に切り替えられる人間を指す言葉だ。」
「え!!黎一さん、Mになった事あるんですか?」
「数ある性経験の中では、過去に3度程。」
なった事あるんだ....。
そ、想像出来ないんですけど....。
「でも...殆どS側ですよね...?」
「そうだな。経験豊富だ。」
そう言われて私の胸にチクリとした痛みが走った。が、瞬く間に消え去った。何だったのだろう?謎だ。
「す、凄いですね....」
「.....................何も触れないのか?」
「.....?何も....とは?」
「もういい。お前が鈍い事を忘れていた。」
そう言って、彼がそっぽを向いた事で私は「あ!」と声をあげると、やっと理解に至った。