I‘m yours forever
第2章 美月、奮闘する
“犬如きに舐められて果てたのか?”
嘲笑と共に私を罵る彼の言葉を想像して一人顔を真っ赤にしてしまった。
「も、もうギブアップです。ご、ごめんなさい。本当は手コキや騎乗位も考えてたんだけど、も、もう恥ずかしくて.....。」
言うタイミングを逃してしまったリタイア宣言をここで初めてしつつ、顔を逸らし、言い訳を並べながら謝った私は、どうか勘弁して下さいと思いながらも彼からの返答を待った。
「美月、お前のその気持ちだけで十分だ。満足だよ。」
耳元で囁かれた彼の優しさ200%で出来た言葉に、私はポカーンとしてしまう。
100%、失態を揶揄されると思い込んでいたからだった。
「ほ、本当に満足できたんでしょうか...?」
「無論、満足だ。」
「わ、私、流暢に喋れませんでした。黎一さんが色々と手を回してくれて罵りやすい状況を作ってくれたというのに、私、凄く下手で...。」
「別にそんな事はどうでもいい。俺の為に良く頑張ってくれた。」
彼はそう言うと、愛おしそうに私の頭を撫でられる。
むず痒い感覚だった。
「本当に、本当ですか?不満ならちゃんと言って下さい。後日、また勉強してきます。私、ちゃんと黎一さんの誕生日、祝いたいからちゃんと言って」
しつこいと思いながらも、確認の為にそう尋ねた私だったが、彼に強引に腕を引かれ、抱擁された為に言葉が途切れる。
「懸命に努力しようとしたお前に欠点等あるものか。お前の純粋な祝いの気持ちだけでも俺は嬉しかった。俺は世辞が嫌いだ。」
本心であろう彼の言葉がゆっくりと脳内に染み渡っていく。
優しい人だと思った。
「......黎一さんが満足出来たのなら、私も...嬉しい...恥ずかしかったけど...良かった...。」
またしても顔を赤めらめ、そう口を開く私の耳元に彼の美声が響く
「ああ...言い忘れていたが、お前からの褒美は要らん。もう受け取ったからな。代わりに私から褒美をやろう。何が良い?」
そう意地悪く目を光らせると、私の火照った身体を撫で回した。
「知ってるくせに。」と口を尖らせ、彼を肘で小突いたが、結局返答する事にした私は、彼の耳元に唇を寄せたのだった。