I‘m yours forever
第4章 美月は何も知らなかった 前編
成績処理、事務処理に追われた学年末、子供達の入学式や進級等、新生活がスタートする節目となる4月が過ぎ、長いようであっという間だったゴールデンウィークも終わった5月半ばの事。
昨年は持ち上がりで3年A組のクラスを担当したが、今年度は再び1年A組のクラス担任を任される事となった私の生活は、やはり結婚前と比較しても慌ただしい。
「んーーーーー!終わったぁ」
華の金曜日、残業の末にやっと仕事を終わらせた私は、自席で思いっきり伸びをする。
デスクには、微糖の缶コーヒーが置かれている。黎一さんからの差し入れだった。
「美月ちゃん、お疲れ様。」
すっかり空になったそれを屑籠に入れようとした瞬間、聞き慣れた声に呼び止められる。
「あ....三原先生、お疲れ様です。」
「あら、貴方一瞬顔引き攣らなかった?(笑)気のせい?」
「すみません、残業の疲れが顔に出ちゃっただけです。」
「あーやっぱりそうよね(笑)そうだと思った!もう1年以上も前の事なのに、警戒されてたらおかしいもの。」
「そ、そうですよ。流石にまだ引きずってたらおかしいですって。」
とは言いつつも、昨年、私の結婚報告に大打撃を受け、若干暴れた三原先生に対し、少々身構えてしまったのは事実だ。
これが黎一さん相手だったら、全部言わされて気まずくなってる所だ。
彼程、勘が鋭くない人で本当良かった....。