I‘m yours forever
第4章 美月は何も知らなかった 前編
「別にいいのよ、付き合ってたら付き合ってたって言っても。もう私、怒り冷めたんだから。まあ美月ちゃんの場合、あんまり自分から言わないタイプだから言いたくないって所が大きいと思うけど。あ、何か追加注文する?アタシはビールとチーズフォンデュ頼もうかなって思ってるけど。」
「あ...じゃあ私はチューハイ追加で。」
何だか勝手に勘違いされてしまったが、彼との出会いから赤裸々に話す必要が無くなり、胸のつかえが下りた私は、三原先生の後にタッチパネルでセルフオーダーをする。
「そうかぁ...彼も良い方向に変わったのね。家庭を持つって本当大事なんだなぁ。」
「そ、そうなんですかね?」
「そうでしょう。人生の一大イベントですもの。まあ結婚して幸せになるとも限らないけどね。アタシは結婚して幸せ掴みたいって思ってるけど。」
「三原先生ならきっと良い人に巡り会えますよ。」
「だといいんだけどね...。あ!」
「どうしたんですか?」
「いや、彼の変わっていない所1つ忘れてたなぁって。」
「どんな部分なんです?」
「ハゲ校長をこき使ってる所🤣」
「え!日比谷教頭、校長の事こき使ってるんですか?」
「え、絶対使ってるでしょ(笑)前、偶々時間外に校長室に通りかかった時に明かりが漏れてたし。前任のイエスマン教頭だったら有り得ないもん。面倒な仕事はぜーんぶ教頭に押し付けて定時帰宅していたセクハラハゲ校長が残業?!って思っちゃった。クッソ笑える。」
「立場逆転してるんですかね?
な、何でそんな事に...?」
「ハゲ校長がなんかしたんじゃない?日比谷教頭からって考えられないもの。それで返り討ちにあって、逆に言いように使われてるんじゃないの?あのハゲ、めっちゃ教頭に萎縮してるもん。校長の意思決定権なんて最早無いんじゃない?」
「...敵に回すと怖い人なんですかね...。」
「でしょうね。味方についてくれたらこの上なく頼もしいけど。でもさ、水月ちゃんはその彼を虜にしたってわけでしょ?ヤバいよね(笑)」
「...え?な、何がヤバいんでしょう?特に私は何もしてないんですが....。」