I‘m yours forever
第4章 美月は何も知らなかった 前編
「一昨日の深夜、喉が乾いてキッチンに向かおうとしたら、黎一さんの部屋から唸り声が聞こえてきて....私、心配になって彼の部屋のドアを叩いたら、顔面蒼白の黎一さんが出てきて....悪夢に魘されただけだって言ってたんですけど、一人で処理し切れないストレスとか抱えてるんじゃないかって思ってしまって....ですけど私、言えなくて....。」
「.....うーん🤔.......確かにあの冷静沈着な日比谷教頭が、悪夢如きで魘されるなんて変ね。」
「そ、そうですよね...😥」
「しかもその原因って仕事のストレスなの?PTAをお客様扱いせずに、ハゲ校長に要領良く仕事押し付けてるあの教頭が?何かあんま考えられないなぁ...。ぶっちゃけストレスなら他に原因有りそう。」
「え.....何だろう....................まさか、私への不満とか?やっぱ子供の事?本当は今すぐにでも欲しかったのに、私が今は考えてないとか言うから、言えなくなって溜め込んで...」
「み、美月ちゃん、ちょい待った」
「ど、どうしよう😰彼の鬱憤が爆発して、知らない間に浮気とかしたら、私立ち直れない。最悪、離婚?む、無理!ヤバい。い、今すぐにでも帰って子作りしようって言わなきゃ「ストップ!美月ちゃん、ストップ!!✋」
焦りの余り、一気に視野が狭くなった私の耳へ三原先生の制止する声が響き、立板に水の如く喋っていた私の口は貝のように押し黙った。
「まだ原因が子どもの事って決まったわけじゃないでしょ?別に聞くのは今日じゃなくたっていいのよ。二人の時間が出来た時に、実はね気になってたんだけどって言って、話題に出せばいいだけの話じゃない。アンタ、焦りすぎ(笑)」
「た、確かに....すみません。取り乱しちゃって。」
そう言って、ぺこりと頭を下げて再び頭を上げた私は、むむ?と奇妙に思った。
三原先生の右手に、チーズフォンデュ用ピックが握られているのだ。そして具材は刺さっていない。
何故...?と思ったが、話が大きく脱線しそうだったので、大きな違和感を感じながらも私は敢えてつっこむのを止めた。