I‘m yours forever
第1章 美月、傷つく
どうしよう....全然食べれない。
こんなに美味しそうなのに。
目前に広がる豪華な料理達を前に、中々箸が進まない自分に私は溜息を吐きそうになった。
あの後、御目当てのアディクションのアイシャドウを購入すると、黎一さん愛用の黒ベンツに乗り、ディナーと宿泊の為に彼が予約したホテルへと向かった。
中欧の都プラハの息づかいが随所に取り入れられた洋館へと足を踏み入れると、フォーマルなジャケットを着用し、爽やかな笑顔を浮かべるホテルマンが出迎えてくれた。
アンティークな品々が並ぶ館内を歩き、案内されたお部屋は3階。
気品ある明るい色調のインテリアに囲まれたお部屋で、暫し寛いでいると、あっという間にディナーの時間となり、黎一さんが予約してくれたレストランへと入った。
ステンドグラスに趣をこらし、プラハのカフェをモチーフにデザインされたレストランの見晴らしの良い窓際席に座る。
程なくして前菜、魚料理、肉料理とクリスマスらしく彩られた本格フランス料理が運ばれ、その美しい料理の数々に私は目を奪われた。
だが情け無い事に肝心の食欲が一向に出てこないのだ。
このニットワンピが駄目だったのかな...。
ウエストリボンが付いているから、ウエストが絞られて良いかなと思ったけど、私が着ると下品だったのかな...。
考えたくも無いのに、うじうじと嫌な考えが頭に浮かんでは消えを繰り返す。