テキストサイズ

老人ホーム

第9章 夜勤 後半

田中は、さっき僕が通り抜けた倉庫の鍵を開けると中に入った。細長い通路は人が1人通れるくらいでその両側が棚になっており、消耗品がいろいろ置いてある。そして突き当りが、さっき僕が出て行った外に通じるドアだ。

棚には、使い捨て手袋、ハンドソープ、トイレの掃除用洗剤…。医療関係以外の介護で使う消耗品は、全部ここに置いてある。

田中は、ここの管理を任されているので、その整理を空いてる時間にするのだ。

見える取りやすい所には、普段よく使う物が並べられており、下の段の取りにくい所にはあまり使わないものが仕舞ってあった。田中は、僕にA4サイズのボードを渡すと、

「私が数えるから、数を書いていってもらって良いかな」

と言った。田中は、奥まで行き、下の段の箱を引っ張り出すと、蓋を開けた。白のタオルが沢山入っている。白といっても、無地ではなく何処かでもらえる社名の入ったものや、何かの行事が書かれているもの。つまりいらない白いタオルを色んなところから集めては、清拭用に使っているのだ。清拭とは、お尻や陰部を拭く蒸しタオルのことだ。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ