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本当に　明花ちゃんが現れた時は　驚いた。

驚いたけど…　

明花ちゃんだって23歳。
あれから12年も経っている。

覚えている訳ない。
僕の事も…　　あんな…　12年も前の約束も…

だから　この気持ちは　蓋をする。

妹と思って…　
12年前のあの時みたいに　
明花ちゃんの幸せだけを願おう…。


そう　思っていたのに…

「再会 出来ましたね ！」

そう、明花ちゃんが言ってきた時には動揺した。

「先生は彼女…奥さんはいないんですか？」

その質問をはぐらかすと、明花ちゃんは僕の両頬
を押さえて、マジマジと顔を確認する。

「… 居ないんだ！」
そう言って喜んだ。

12年前の　あの時みたいに…。

「バカな事を言ってないで
仕事に集中してください？」

冷たくあしらって　話を終わりにしようとしたのに…

明花ちゃんに　キスされた。

その瞬間　ゾクッとした。

忘れていた　明ちゃんの温もりを　思い出す。

まるで時計の針が逆戻りして…
12年前に引き戻される様…

「バカじゃない…！先生を追いかけてきたんだもん！」
涙目になって訴える明花ちゃんに　驚く。

ああ…！　明花ちゃん…　本当に？！　
それなら　本当に　嬉しいよ…。
そんなに　ずっと　忘れないでいてくれた？

僕もだよ…。　忘れられなかったんだ。
君の　キスの呪縛は　強力で…

忘れるどころか　益々と　僕を　蝕んで…
君を　渇望していたよ…


でも…

明花ちゃん　　やっぱりダメだよ。

明花ちゃんと僕とでは　住む世界が違う…。

君は23歳。　キラキラと眩くて　

僕なんかが釣り合う訳がない。

年相応の若い子と　素敵な恋愛をした方がいい。

僕は　明花ちゃんが幸せなら　それでいいんだ。

12年前の事を　律儀に守ろうとしているのか…？
そんな必要はないよ…？

自分が幸せになる道を　ちゃんと　考えた方がいい。

そう　思った。


でも　明花ちゃんは　諦めない　と言った。

僕は　頭を抱えた。

何で　そんなに　僕を　惑わせる　？


明花ちゃんを　手に入れたい気持ちと

明花ちゃんの　未来を思って　突き放さないと…と思う気持ちが　攻めぎ合う。

12年前の対応を　後悔する。

もっと　ちゃんと　突き放せば良かった。

こんな事に　こんな想いに　なるくらいなら…