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主治医との結婚生活

第7章 奏真の話

「え…?」
唐突な告白に 明花ちゃんは戸惑っていた。

「えっと…?」

「ごめん。 散々逃げ回って 泣かせたけど
僕は 明花ちゃんが好きです。」

もう1回 言った。

明花ちゃんの瞳が揺れ動く。

「… 本… 当… ?」

明花ちゃんは口元に手を置いて涙を堪えながら、
眼で確認してくる。

僕は力強く頷いて答えた。

「本当にごめん。明花ちゃんに幸せになって
貰いたかったのは本当なんだ…。
今だって 明花ちゃんを幸せに出来るかなんて
自信はないんだけど…。
本当に…こんな オジサンでいい?」

明花ちゃんの目から涙が溢れる。
頭を横に振って…

「先生しかいらない…!
ずっと先生だけが欲しかった…」

うわぁ っと泣き出した。 

「せんせぇ… そうま…せんせぇ… すき…
だいすきなの… ずっと…ずっと… 好きだったの…」

両手で涙を拭いながら 一生懸命に想いを伝えてくる。 

明花ちゃんが愛しくて 堪らなかった。

両手首を掴んで 明花ちゃんに口づける。

愛しい… 

こんなに 僕を愛してくれる子は 明花ちゃんしか 
いない… 

それから ぎゅっと 抱きしめる。

もう 絶対に 離さない…

1度 溢れ出たこの想いは 2度と蓋が出来ない。 

「せん… せぇ…  私、病気だよね…
先生しか 要らないよ…」 

僕の腕の中 胸にしがみついて 頬を寄せてくる。
頬を赤くして… 幸せそうに 口元をあげる。

可愛い…

そっと 髪を 撫でる。

「僕が原因の病気なら 僕にしか 治せないね…」

僕の言葉に明花ちゃんが頷く。

「この胸の痛みや 寂しさは 薬じゃ効かない。先生にしか 治せないよ…」

「明ちゃん… ごめんね?」

「本当に… 遅いよ 先生! 
14年は…待ちくたびれたよ…!」

顔をあげて 笑う 明花ちゃんの頬を捕まえて
キスをする。

「もう… 離さない…!」

照れるけど  今までの償いに 僕は必死だ。


「ふふっ。 やっと先生からキスしてもらえた! 」

明花ちゃんは 本当に 幸せそうに 笑った。

だから 誓った。

この先 この笑顔を守るのは 僕だ。

この役は 誰にも 譲らない !

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