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主治医との結婚生活

第2章 出会い

旦那様である奏真先生との出会いは
私がまだ小学生の時。

身体が弱かった私は、長期の休みになると
母の実家である空気の良い田舎へ預けられた。

その土地で地域医療を支える大澤診療所には、
体調を崩す度にちょこちょことお世話に
なっていた。

院長の大澤先生は素敵な先生で、優しくて
私は安心して入院生活を送っていた。

ある日 大澤先生から 息子の奏真さんを
紹介された。

「今大学でお勉強していてね、
お医者さんの卵なんだ。
夏休みで帰って来ていて…。
明花ちゃんの話し相手くらいには
なれると思うから仲よくしてやってね?」

そう紹介された奏真さんは お世辞にも
格好良いとは言えなかった。

髪は長めでボサボサだし、不精髭も生えていて
衛生的ではない。

ただ瞳はとても優しくて、大澤先生と親子だな
と思えた。

「奏真先生はなんでそんなにボサボサの髪を
してるの?」

「今まで学校が忙しくて…身なりを気にする
時間が無かったんだ。」

小学生の配慮のない辛辣な質問にも、
丁寧に答えようとしてくれる。

私は奏真先生の長い前髪を持ち上げて顔を見る。

「先生、髪の毛を切ったら格好良いと思うな〜!
短くした方がいいよ〜」

私がアドバイスすると先生は顔を赤くして
照れた。

「…先生って 彼女いないでしょ…!(笑)」
「余計なお世話です!」

そうして小生意気な小学生女子に、
先生は夏休み中、振り回される事となる。

先生の気を引きたくて病室から抜け出してみたり、
ワザとキスする様に抱きついてみたり…。

先生はいちいち反応してくれるし、
怒っても迫力がないし、基本とっても穏やかで
優しかったから、私はどんどんと先生の事が
好きになった。

ある日
奏真先生の髪がさっぱり短くなっていた。

「髪、切ったんだね!」
私が言うと、
「やっとね(笑) サッパリしました!」
と爽やかな笑顔で微笑んだ。

「うん! その方がやっぱり断然格好良い!」

私が褒めると、奏真先生はやっぱり顔を赤くして
照れた。
「…年上を誂うんじゃありません!」

咳払いをして離れようとするから、
私は悲しくなって先生に抱きついた。

驚く先生の首に腕を回して唇を奪った。

私のファーストキスは 奏真先生だった。



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