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主治医との結婚生活

第12章 奏真の嫉妬

僕は嫉妬なんて した事はなかった。

今まで 付き合ってきた彼女達は 言い寄られて
付き合い出したから… 
今思えば 酷いけど 思い入れは無かった。

明花ちゃんに至っては…
僕の事を 追いかけて 14年越しの片思いを 
実らせるくらいだったから…
明花ちゃんの 僕への愛を 
信じて疑う事なんて 考えた事もなかった。

でも まさか…

明花ちゃんの初恋相手が 僕じゃないなんて 
考えも及ばなくて…

その事実を知った時は 衝撃で
初めて 嫉妬を覚えた。





それは 結婚の報告の為に 
明花ちゃんと 実家に出向いた時の事だった。

明花ちゃんは 
「久しぶりに大澤院長先生に会える!」
とすごく嬉しそうだった。

明花ちゃんの幼少、学童期の療養を支えたのは
他でもない、僕の父親だ。
明ちゃんの主治医というなら、正真正銘は父親。

明花ちゃんは 僕の父親を尊敬している と言い、
看護師になって更に 父親への尊敬が深まった
と言う。  


「私が奏真さんの結婚相手だなんて、先生、
驚いちゃうかな…?」

まるで 学童期の明ちゃん に戻ったみたいに
明花ちゃんは いたずらっぽく笑った。


そうして 実家に着いて
明花ちゃんと父親は 久しぶりの再会を果たした。

「大澤先生…!」

明花ちゃんは父親を確認すると 
駆け寄って抱きついた。

え…? っと 僕は少し 面食らった。

「おおっ! 明ちゃん…! 久しぶりだねぇ!
すっかり素敵なレディになって…」

明花ちゃんを迎えた父親も 
見た事がないくらい デレデレだった。

「先生も相変わらず 素敵です!」

「そお? そんな事を言ってくれるのは 
明ちゃんくらいだよ…。」

「良かったわねぇ あなた♡ 
この人ったら明ちゃんに会うからって 
服を新調したいなんて言い出してね〜」

「ええ? そうなんですか? 明、嬉しいなぁ〜♡」

明花ちゃん、父親、母親 のテンションに
1人だけついて行けなかった。


「いやぁ~ しかし、明ちゃんが奏真のお嫁さん
だなんて…! 嬉しいやら悲しいやら…」

父親の言葉に疑問を湧かせる。
嬉しいのはわかる が 何故 悲しい?

「そんな! 悲しむだなんて…! 
明は先生の事も大好きですよ? 
この想いは 変わりません!
明の初恋は先生ですもの…!」

えぇ?! 
僕は衝撃を受けた。

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