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勝手な思い込みだったのだが
明花ちゃんの初恋は　自分だと　思っていたのだ。

「明ちゃんには　参ったよな～！　僕の気を引くのに　すぐ病室から居なくなっちゃって…」

「そうですね♡　先生はいつも気にかけて
下さいました♡　甘酸っぱい思い出です…♡」

２人の会話を聞きながら　更に衝撃が走る。

何？！
あの病室からの脱走は　父親の気を引くために
始まったというのか…！

僕も散々　あの脱走には　振り回されたのに…！
しかも　その脱走を　鬼ごっこみたいで　楽しい！　だなんて　最後には思ってしまっていたのに…！！


知らなかった　新事実に　僕は1人　奈落の底へ
突き落とされた気分になった。


それから　僕は　不機嫌です　と　顔に書いて
だんまりを決め込んだ。

父親と明花ちゃんが　楽しそうに笑って
僕の知らない　昔の話に喜ぶ事が　
気に入らなかった。


人生初の嫉妬　をした。


父親が偉そうに
「ちゃんと　明ちゃんを　
幸せにするんだぞ？！」
なんて言うのも　気に入らなかった。

僕は急遽　駅前のビジネスホテルを取って
実家には泊まらずに　明花ちゃんを連れ出した。


ビジネスホテルに着いてからも
僕は口数少なく　不貞寝をしていた。

「ねぇ…奏真さん！」

ゆさゆさと明花ちゃんが僕を揺らすが　無視する。

「…そんなに　嫌　だったんですか？
佳真先生との初恋話…」

嫌だったに　決まってる　！
僕は明花ちゃんに背を向けたまま　微動だにしない。

その内　明花ちゃんは悲しそうな声を出し始めた。

「ねぇ　奏真さん…　こっち　向いて下さい…
別に佳真先生とは付き合ったわけでもキスした
訳でもないのに…　何でそんなに怒ってるの…？」

…　確かにその通りなんだが…　面白くない！！
明花ちゃんの言葉に　心の中で答える。

「…奏真さんの方が　沢山　彼女いたくせに…！
28人…でしたっけ。　原田先生が教えてくれましたよ…？原田先生も元カノなんでしょ…？」

原田先生め…！　
明花ちゃんに変な事を吹き込んだな…？！

僕は　観念して　起き上がって明花ちゃんを見る。

「原田先生と　付き合った事なんてない。
28人なんて　身が保たないよ…」

明花ちゃんはムッとした顔をして
僕の肩を押して　ベッドに沈める。

それから　明花ちゃんは　一生懸命にディープキスをして　僕を襲う。