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主治医との結婚生活

第24章 篠宮家のお嬢様

「は… はぁ…。 そうですか…。」

「梓様も それはそれは 人気でございまし
た…!    
失踪されたと 当時は皆で 大騒ぎをしたもの
ですが… 今はどちらに?」

失踪… 
私は 苦笑いする。


「今は 都内に…」

「都内…! そうですか!
梓様は お元気ですか?」

「お蔭様で 元気にしています。」

「そうですか! 何よりでございます!
こちらには 戻って来られないのですか?
土地の者は 皆、篠宮家のファンでしたからねぇ! 貴女が居てくださったら この街も また
活気づきそうですが…」

大袈裟だな(笑)

萩原さんの話を聞きながら 
私は また 苦笑いする。

こんな顔 都内なら 沢山いるけど…
(もっと きれいな人も…)

この土地ならでは なのかな?


母が「住みにくい土地よ」と言い放った意味を
何となく 感じる(笑)


「生憎… その様な予定はありませんね。」

奏真さんが 笑顔で 割って 入ってきた。

「えぇ? 大澤診療所は継がないのかい?」

萩原さんは悲しそうな顔を 奏真さんに向けた。

「ええ。 残念ながら…」

「そうなのか…。 時代だなぁ…!
しかし…そうか そうか! 
羨ましい限りだよ 奏真くん!
大事にするんだよ? 
篠宮様は この土地の 女神様だからね!」

そうして 萩原さんは フロントの奥へ
戻って行った。


「随分 オーバーな方でしたね…(笑)
私… 祖母に 似てきたでしょうか…?」

萩原さんの背中を 見送りながら 呟く。

奏真さんは 
萩原さんに握られた手を 取り、撫で払う。

「父の代より上の人達は 篠宮家を崇めている
からね…。 でも 僕達には 関係ないよ。」

不機嫌に 呟いた。


そうして いざ 温泉街を 出歩くと…

「あの 失礼ですが… 篠宮様 ですか?」

「ああ! お孫さん?!
百合子様の 幻かと思いました!」

「一瞬 タイムスリップでもしたかと思いました! よく似ていらっしゃる…!」

60代より上の方を中心に
おじいちゃま、おばあちゃまに 
声を掛けられる。

そうして
皆 笑顔で 祖母を称賛する。


私と奏真さんは ゆっくり 観光出来ない。

「困りましたね…。 
私、こんなに モテた事、無いのですが…」

近くのベンチに座り、両手を付き、項垂れる。



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