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孤高の帝王は純粋無垢な少女を愛し、どこまでも優しく穢す

第30章 口淫

=Reika=

遥人さんの学業があるため新婚旅行はしばらくしてから、と決めていたので、結婚後は日常の生活に戻っていた。

遥人さんと私の新居は、おじさまの別宅のあるマンションの、ワンフロア下の階の部屋だった。

間取りはおじさまの別宅と同じなので、窓の外の景色が少し低く感じられるほかは、住み心地は以前とさほど変わらない。

家事は相変わらず香さんがサポートに来てくれる。

そこに、朝と夜は遥人さんと顔を合わせ、彼と一緒に食事をする。そうした習慣が加わった程度だ。



式を挙げてから数日後、遥人さんから新入生歓迎コンパで帰りが遅くなると伝えられた日、私はおじさまに早めの夕食に誘われて部屋を訪ねた。

「待っていたよ、お姫様」

奥ではかすかに金属が当たるカチャカチャという音とともに、テーブルセッティングしている給仕役の男性の姿が見えた。

「黎佳」

おじさまは唇をかすかにすぼめて指を立てた。

玄関ホールに飾られた大きなフラワーアレンジメントの陰、ちょうど給仕から見えない位置に私の体を引き込んだ。

アイロンのきいたシャツの下から匂い立つムスクの香り。

抱きしめてキスされて、その温かく柔らかい感触をいつまでも味わっていたい気持ちになった。

「つづきはあとで」

耳元で囁かれ、私はよろける足でなんとか進んでダイニングルームにたどり着く。

ダイニングテーブルにはキャンドルが飾られ、しずかな音楽が流れていた。

照明を落とした部屋は落ち着いた雰囲気で、私は久しぶりに肩の力が緩んだ気がした。

「あとのことはこちらで出来るから。今日はありがとう」

おじさまは給仕の係の男性に目をやり、微笑んだ。

給仕の男性は下がって深くお辞儀をし、無駄な動きひとつなく部屋から出て行った。

久しぶりの二人だけの夕食に胸が躍る。

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