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孤高の帝王は純粋無垢な少女を愛し、どこまでも優しく穢す

第3章 救いの手

「…本日の予定は以上です。ちなみに…スミレさんからマンションのエアコンが壊れたと連絡がありましたので、修理を手配しました。明日には業者が行きますが、今晩…熱帯夜の予報ですね。スミレさんは出張だそうです」

社長室のデスクで朝のコーヒーを飲む私の横で、秘書の羽月美奈子は一日のスケジュールを読み上げた後そう付け加えた。

都心に建つ門倉ホールディングスの本社ビル。

その最上階にある社長室の大きな窓の外には夏の空が広がっているものの、空調は整っていて熱帯夜と言われてもすぐにはぴんと来なかった。

実際目の前で革の手帳を掲げる羽月は痩せた体に黒いスーツを纏い、汗ひとつかくこともなく涼やかな目をこちらに向けている。


「どうされますか」

改めて聞く羽月の表情を見て、黎佳を思った。

羽月は、最近私に先回りするようにさりげなく黎佳の様子を気にかけてくれる。彼女のこまやかな対応力には感心するばかりだ。


「今晩はあの子を俺のところに泊めよう。スケジュールが済み次第スミレの部屋に行くようにしてくれ」

「では銀座はキャンセルにします」

羽月はペンを走らせると手帳をぱたっと閉じた。

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