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孤高の帝王は純粋無垢な少女を愛し、どこまでも優しく穢す

第39章 愛憎

もはや、どうなってもかまわない、そんな自暴自棄な思いが心の奥に巣食っていたのだ。

「身勝手な言い分だな。バレたらおいそれと逃げるのか」

「もう私の顔、見たくないでしょう」

「ああ、見たくないよ。どこか夢見ているようなぼんやりした顔。おじいさまがいなくなってからずっと、何も見ていないようなこの顔」

力任せに、頬を片手で挟むように掴まれ、顔を持ち上げられた。

「遥人さん?」

顔を上げた先にある遥人さんの目には、私への憎しみの影はなく、むしろ、私の目と同じく悲しい昏さを宿していた。

「もう、いないんだ、目を覚ませ」

遥人さんの指が、頬に食い込む。力任せに顔を揺さぶられ、涙で歪んだ視界が大きくぶれる。

「おじいさまは、いないんだ」

涙があふれ出る。おじいさまがいない、その言葉には遥人さんの悲痛な思いが込められていた。

このひとも淋しいのだ。そして私の寂しさも、遥人さんは横にいて感じ取ってきたのだ。

「もうそんな顔はやめろ」

彼の腕にきつく縛られる。息ができないくらい強く抱かれると、久々に、自分の体が今ここにあるのだという実感がわいた。

同時にどこまでも落下し続けているようなふわふわした心地がすっと私を支配していたことに気づいた。

私はこれまで、ずっと現実から逃れたくてふらふらと心を漂わせてきたのだ。

「僕を愛してると言うのか」

「もちろんよ。愛してる」

「黎佳はばかだ。そして僕もばかだ」

遥人さんは私の頬の涙を指で拭った涙のあとに、唇を押し付けた。

「嫌いになんてなれないんだよ」

「遥人さん…」

喉から嗚咽が漏れた。




パジャマのボタンを外され、胸元が露わになる。

唇を押し当て、痛いくらいに吸われ、体がひくんと跳ねた。

乳房からお腹、脇腹へと丹念に遥人さんの唇の印を刻まれる。

すべて脱がされた私の躰には、赤い花びらが舞い落ちたようだった。

息ができないくらいの荒々しい接吻と同時に乳房を強く揉まれ、乳首をつねられる。

荒々しい触れ方に、私はかえっていつになく興奮を覚えた。

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