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孤高の帝王は純粋無垢な少女を愛し、どこまでも優しく穢す

第44章 今日だけ、今だけ

=Reika=

浅木さんは、ベージュのパンツを脱いだ。ニットを首から抜き取った拍子に、品よく整えられていた髪がわずかに乱れた。

「黎佳、抱いてもいい?」

普段よりも甘ったるい声で、浅木さんが囁いた。

その目つきは許しを請う子供のように心もとなげで、切実だった。

思わず浅木さんを抱き寄せ、汗で湿り気を帯びた背中に手を滑らせた。

「抱いて、浅木さん」
「いい?僕が抱いても」
「ええ。浅木さんに抱いて欲しい」

私が言うと、浅木さんは頬を摺り寄せた。

「今日だけ、今だけでも」

そう言って唇を重ねる。



私は目を閉じた。

砂浜を走る星名さんと遥人さんの姿がちらついた。

遥人さんと星名さんがぐっしょりと濡れた体で日の光を浴びている非日常の光景に、私たちは少なからず動揺していた。

そしてその光景は、私と浅木さんに不思議な欲情を芽生えさせたのだと思う。

少なくとも私は、幸せを全身に浴びているような彼らの姿に嫉妬を覚えた。

簡単に言ってしまえば、こうして抱き合うことを「当てつけ」と言うのかもしれない。

私たちだって、あの場所にたどり着ける、そんな風な思いが私たちを駆り立てていた。



浅木さんのキスは、首筋へと下りた。

背中を滑り下りる手が優しい。

私も彼に背中をまわし、彼が全身から放つ優しい空気に酔った。


乳首をくわえ、舌で溶けそうになるまでくすぐられながら、両手をつなぎ合い、絡めた指先で愛しい気持ちを伝え合った。

言葉でなく、指先で囁き合うようなその行為は、秘密めいていて、淫靡で、優しくて、体の芯が溶けるような幸福感に満たされる。

彼の優しい舌の感触が、乳房全体に快感のさざ波を広げていく。

私は彼の指先に唇を押し当て、熱い吐息を吹きかけた。

舌はお腹を滑り降り、腰骨を通って両足のあわいに、時間をかけてたどり着いた。待ちに待ったとばかり、腰をくねらせ、私は足を開いて彼の舌を受け入れた。

柔らかな皮膚の上を、舌が丹念に這っていく。花びらをめくり、花蕾の付け根をなぞられて、私は握り締めた手に思わずぎゅっと力を込めた。

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