孤高の帝王は純粋無垢な少女を愛し、どこまでも優しく穢す
第10章 庇護
=黎佳=
「あら、お嬢様おはようございます。早かったですね。音、うるさかったかしら」
ベッドから下りて部屋のドアを開けると、カウンターキッチンで朝食の準備をする家政婦の香さんが肩をすくめてちょろっと舌を出す。
「ううん。うるさくなんかなかったわ。ただね、すごくいい匂いがしたの」
ダイニングに漂うバターの香りを追いかけるように鼻をクンクンさせながらカウンターに近づいて、手をかけた。
「今日はなぁに?」
「フレンチトーストですよ。週明けの朝になるとお嬢様は決まって食欲がないでしょう?そんなときはやっぱこれよね。一口でパンも卵も食べれちゃうんだもの」
人差し指を動かしてつぶらな瞳をくるくる動かしながら、香さんは楽しそうに話した。
香さんはおじさまに雇われて私のマンションに通う家政婦さんで、新しい恋人と半同棲生活になったスミレちゃんの代わりに家事全般を引き受けてくれていた。
そのころから、おじさまが頼んだ人たちが身の周りの色々なお世話をしてくれるようになっていたのだった。
香さんはおじさまの指示のもと、私を「お嬢様」と呼びつつも、孫のようだと言って可愛がってくれた。
よく冗談で自分のことを「おばあちゃまはね…」などと言ったが、おばあちゃまというには若々しく、はちきれそうな印象の明るく可愛い人だった。
「あら、お嬢様おはようございます。早かったですね。音、うるさかったかしら」
ベッドから下りて部屋のドアを開けると、カウンターキッチンで朝食の準備をする家政婦の香さんが肩をすくめてちょろっと舌を出す。
「ううん。うるさくなんかなかったわ。ただね、すごくいい匂いがしたの」
ダイニングに漂うバターの香りを追いかけるように鼻をクンクンさせながらカウンターに近づいて、手をかけた。
「今日はなぁに?」
「フレンチトーストですよ。週明けの朝になるとお嬢様は決まって食欲がないでしょう?そんなときはやっぱこれよね。一口でパンも卵も食べれちゃうんだもの」
人差し指を動かしてつぶらな瞳をくるくる動かしながら、香さんは楽しそうに話した。
香さんはおじさまに雇われて私のマンションに通う家政婦さんで、新しい恋人と半同棲生活になったスミレちゃんの代わりに家事全般を引き受けてくれていた。
そのころから、おじさまが頼んだ人たちが身の周りの色々なお世話をしてくれるようになっていたのだった。
香さんはおじさまの指示のもと、私を「お嬢様」と呼びつつも、孫のようだと言って可愛がってくれた。
よく冗談で自分のことを「おばあちゃまはね…」などと言ったが、おばあちゃまというには若々しく、はちきれそうな印象の明るく可愛い人だった。