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孤高の帝王は純粋無垢な少女を愛し、どこまでも優しく穢す

第10章 庇護

香さんがテーブルに並べてくれた焼きたてのフレンチトーストに蜂蜜をかけた。

他にもフルーツやヨーグルト、おじさまがプレゼントしてくれたウエッジウッドの紅茶セットも並んで、朝だと言うのに食卓は華やかだ。

これまで自分ひとりで用意していたコーンフレークだけの朝食とは雲泥の差だった。

「お嬢様、夕食のリクエストは?」

「香さんの手作りの切り干し大根が食べたいな」

「あらあら、そんなものでいいんですか?材料費はご主人様からふんだんに預かってるのに」

「だって美味しいんだもん。食べるとホッとするの。高い材料じゃないのかもしれないけど、私にとってはご馳走よ?」

「嬉しいこと言ってくれるじゃない。私も心を込めて作ってるからね。お嬢様は…人の真心がちゃんと分かるのよね」

そう言ってクスンと洟をすすった。

香さんは情が熱くて涙もろいところがあった。

何気ない一言でも、しょっちゅうエプロンの裾で目頭をぬぐっていた。

香さんは週に5日、早朝にマンションに来ると朝食を作って私を小学校に送り出し、掃除と洗濯を済ませ、夕食の準備をして昼過ぎにマンションを出て行く。

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