孤高の帝王は純粋無垢な少女を愛し、どこまでも優しく穢す
第10章 庇護
月水金は、美奈子さんと入れ違いに夕方に家庭教師の御藤司先生が来て、学校の予習復習の他に、実力強化のための指導をしてくれた。
御藤先生は28歳。大学を卒業して学校の先生をしていたのだけど、今は作家を目指して普段は執筆活動にいそしんでいた。
その傍らでアルバイトとして私に週三日、勉強を教えてくれていたのだ。
御藤先生はどんな科目もわかりやすく身近なことに置き換えながら説明してくれる先生だ。
「僕の年齢になると、そろそろ塩分の取りすぎとか気を付けないといけないんだよね」
先生の話は決まって唐突に始まる。
「そうなんですか」
「昨日は友達とラーメンを食べに行ったんだけどさ」
「はい」
「友達が、このスープしょっぱい、これじゃあ塩分取りすぎで体に悪い、そう言って、横にあったコップの水を足したんだ」
私は無心に御藤先生の話に聞き入った。
「これでしょっぱくない、塩分が薄くなった、そういって友達は…スープを全部飲み干したんだ。へんだろ?」
「…へんですね」
私は思わずくすっと笑った。
「…摂った塩分は結局へってないだろう?それじゃあ結局、体に悪いままだって言ってやったよ」
…と、こんな調子で算数の塩分濃度の計算方法の授業が始まるのだ。
おかげで勉強をさせられているという意識もないうちに、いつの間にか旅人算や植木算が身についてしまったりした。
そのころのスミレちゃんは、たまに家に戻ったとしても、深夜の帰宅と同時にすぐに眠ってしまった。
おじさまはスミレちゃんが自分のしたいことに専念できるように、私の身の回りのことで負担がかからないようにしていたのだ。
御藤先生は28歳。大学を卒業して学校の先生をしていたのだけど、今は作家を目指して普段は執筆活動にいそしんでいた。
その傍らでアルバイトとして私に週三日、勉強を教えてくれていたのだ。
御藤先生はどんな科目もわかりやすく身近なことに置き換えながら説明してくれる先生だ。
「僕の年齢になると、そろそろ塩分の取りすぎとか気を付けないといけないんだよね」
先生の話は決まって唐突に始まる。
「そうなんですか」
「昨日は友達とラーメンを食べに行ったんだけどさ」
「はい」
「友達が、このスープしょっぱい、これじゃあ塩分取りすぎで体に悪い、そう言って、横にあったコップの水を足したんだ」
私は無心に御藤先生の話に聞き入った。
「これでしょっぱくない、塩分が薄くなった、そういって友達は…スープを全部飲み干したんだ。へんだろ?」
「…へんですね」
私は思わずくすっと笑った。
「…摂った塩分は結局へってないだろう?それじゃあ結局、体に悪いままだって言ってやったよ」
…と、こんな調子で算数の塩分濃度の計算方法の授業が始まるのだ。
おかげで勉強をさせられているという意識もないうちに、いつの間にか旅人算や植木算が身についてしまったりした。
そのころのスミレちゃんは、たまに家に戻ったとしても、深夜の帰宅と同時にすぐに眠ってしまった。
おじさまはスミレちゃんが自分のしたいことに専念できるように、私の身の回りのことで負担がかからないようにしていたのだ。