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孤高の帝王は純粋無垢な少女を愛し、どこまでも優しく穢す

第11章 喪失

=黎佳=

おじさまの息子である樹さんと、その奥様の洋子さんが亡くなったと言う知らせは、あまりにも突然だった。

旅先の富山で、車がスピンして崖から落下したという。


「これからしばらくの間は、何かお困りの場合はわたくしに連絡してください。落ち着き次第社長はそちらにいらっしゃるとのことです」

電話越しに美奈子さんは悲しい知らせを低い声で告げた後、そう言った。

受話器を握った私は、どきどき鳴りやまない胸をなだめながら言った。

「美奈子さんおねがい、お葬式に行きたいです」

「なぜ、黎佳様がそんなことを」

たしかに表面的には血のつながりもなく、本来は隠れていなければならない、愛人側の人間だ。

けれども私はどうしても行かなければいけない気がした。

「わからないけど、行きたいんです。どうしても」

「…わかりました。では車をマンションの前に迎えに行かせます。お焼香をあげるだけにいたしましょう。よろしいですね」

「はい」

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