孤高の帝王は純粋無垢な少女を愛し、どこまでも優しく穢す
第2章 出会い
「私はスミレちゃんのお友達の、門倉雅紀。おじさんはスミレちゃんの代わりに来た」
その人は屈んで私と目の高さを合わせて言って、目尻に深い皺を刻んで微笑んだ。
少しウエーブのかかった豊かな黒い髪、濃い睫毛の奥できらきら光る漆黒の瞳に私は力強く引き込まれる心地がした。
「今日は僕が小さなプリンセスのエスコート役だ」
そう言っておじさまは私の手を握った。
手をつないで歩きながら、金色に光る腕時計が袖から覗くおじさまの手を見つめた。
温かく大きな手に包み込まれた私の細い指は、まるで寝床で休む安心しきった小さな動物みたいに見えた。
大人の手がこれほどまでに安心させてくれるものだと言うことをその時初めて知った。
それまで薄闇のようにぼんやりしていた私の意識は、その手に出会った瞬間から、急に強い光を浴びたようにくっきりとした輪郭を得た。
きっとその大きな優しい手が、孵化を待って眠っていた私の意識を目覚めさせたのだと思う。
「卵からかえったヒナは、光の世界に飛び出してから最初に見た相手を親鳥だと思う」
という。外の世界を自分の目で見られるようになった瞬間に目の前にいた雅紀おじさまが、父であり、母になった。
そしてやがておじさまは、私にとって世界のすべてになった。
その人は屈んで私と目の高さを合わせて言って、目尻に深い皺を刻んで微笑んだ。
少しウエーブのかかった豊かな黒い髪、濃い睫毛の奥できらきら光る漆黒の瞳に私は力強く引き込まれる心地がした。
「今日は僕が小さなプリンセスのエスコート役だ」
そう言っておじさまは私の手を握った。
手をつないで歩きながら、金色に光る腕時計が袖から覗くおじさまの手を見つめた。
温かく大きな手に包み込まれた私の細い指は、まるで寝床で休む安心しきった小さな動物みたいに見えた。
大人の手がこれほどまでに安心させてくれるものだと言うことをその時初めて知った。
それまで薄闇のようにぼんやりしていた私の意識は、その手に出会った瞬間から、急に強い光を浴びたようにくっきりとした輪郭を得た。
きっとその大きな優しい手が、孵化を待って眠っていた私の意識を目覚めさせたのだと思う。
「卵からかえったヒナは、光の世界に飛び出してから最初に見た相手を親鳥だと思う」
という。外の世界を自分の目で見られるようになった瞬間に目の前にいた雅紀おじさまが、父であり、母になった。
そしてやがておじさまは、私にとって世界のすべてになった。