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孤高の帝王は純粋無垢な少女を愛し、どこまでも優しく穢す

第2章 出会い

=Reika=

強く暖かく、深く抱きしめてくれる途方もなく優しいその手と出会ったのは、小学校の入学式。

当日の朝になって保護者代わりのスミレちゃんが急に学校に来られなくなり、私は一人、新品のランドセルを背負って小学校まで歩いた。


周りの子たちは親たちと一緒なのに、私は一人、校門のはす向かいの桜の木の下に佇んでいた。

どうしようもなく不安で、寂しくて、わけもなく悔しくて。笑顔をほころばせる子たちの中で、私だけが歪む唇を噛んで涙が出そうなのをこらえていた。



その時、後ろからかつかつと力強い足音が聞こえた。

振り返ったと同時に、突然の風が足元に散り落ちた桜の花びら舞い上げた。

舞い落ちる桜の花びらの向こうに、背の高い男の人が立っていた。

「黎佳ちゃん」

その人はそよ風みたいな優しい声で私の名前を呼んだ。

みんなのお父さんよりもはるかに年上に見えたけど、体にぴったりとなじんだ美しい生地のスーツをまとい、すっと背筋の伸びたその姿は、子供と連れ立ってやってくる他のどの男性よりも人目を引いた。

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