テキストサイズ

孤高の帝王は純粋無垢な少女を愛し、どこまでも優しく穢す

第23章 女友達

=Reika=

「新しい家庭教師、決まらないの?」

園江美晴は学校のセカンドバッグを公園のベンチに置くと、長い脚を組んで腰掛け、売店で買ったミルク味のアイスキャンディーの袋を引っ張って開いた。

「ええ…おじさまが、安川先生以上にいい女の先生が見つからないって。御藤先生から安川先生に変わって成績が上がったから」

私は言いながら、イチゴ味のかき氷を手に美晴の隣に座った。

膝にセカンドバッグを置いてテーブル代わりにしてかき氷のカップにスプーンを挿し入れる。



中学二年に上がると、私は放課後の時間の多くを美晴と過ごした。

その夏は猛暑で、空の青色は強く、入道雲の隆々とした稜線は逞しい筋肉のようだった。

空も雲ですらも、燦燦と照らす太陽に負けないエネルギーをはらんでいた。

もうすぐ夕刻だと言うのにまだぎらぎらしている太陽の下で、美晴と私はその熱に耐えきれなくなってアイ氷菓子を片手に公園の木陰に逃げ込んだのだった。


「けど安川先生、子供出来ちゃったんでしょう」

「そうよ。それで、本当に急に結婚が決まったの」

中学二年に上がった直後、御藤先生は田舎のお父様が急に倒れたと言って、家業を継ぐために実家に帰ってしまった。

御藤先生の後任でやってきた新しい家庭教師の先生も一か月足らずで退職してしまった。

さらに御藤先生が辞めたのとほぼ同じ時期に美奈子さんも柏木法律事務所に転職してしまい、私のマンションは急に寂しくなっていた。

「あぁあ。夏休みをどうやって過ごそうか」

私は頭上高くに茂るくすの木の葉を見上げた。

隙間から漏れる夏の日差しが筋になって小道に下りていた。

私と美晴はこの光が織りなす散歩道の模様が大好きだった。

「一緒に行けたらいいのに、フランス」

美晴がどんどん溶けるアイスを急き立てられるように舐めながら言った。


学校から帰っても誰も迎えに出てくれる人はなく、しんと静まり返った部屋に一人、夕食は香さんが昼間のうちに用意してくれていたものを温めて食べる日々が続いていた。

そんな私を見かね、おじいさまのいるフランスで夏を過ごす美晴は、一緒に来ないかと誘ってくれたのだった。

「案の定、おじさまは心配だからって許してくれなかったわ。けど、美晴にはステファンがいるんだから、私が行ったら邪魔なはずよ?」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ