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バレリーナの憂鬱

第1章 相談があるなら裸にさせなさい



秘密にしていたなんて。

モデルの後輩の理恵ちゃんは女子大生にしてバレリーナだ。

4年制大学の一年生。
モデルで稼いで、バレエに打ち込む毎日というわけ。

一方、短大生の私は、来るものは拒まずで稼げるだけ稼ぐつもりけど、卒業のあとのことは決めてない。

実は、彼氏は医学部だ。このまま結婚という安全なコースがあるし、
中堅の運送会社である実家のバックアップも心強いはず。

傲慢にも将来の心配が少ないから、モデル業も趣味に近い──はずだったけど、やはりプロの画家や真剣な画学生に向き合うと、私も身が引き締まるもので、裸を恥ずかしいとは微塵も思わなくなっていた。(最初は抵抗があった四つんばいも、もう平気)

──話がそれた。

理恵ちゃんはバレエの先生に、ヌードのモデルをしていることを秘密にしていたけど、
ついにバレたのだそうだ。

「バレエ一本にしなさい。ダンサーは絵画モデルに向くなんて言われるけど、いいことは一つもないから」

先生にそう諭(さと)された彼女は私の部屋に来た。相談のために。

こんなことは暴走SM彼氏と別れるかという相談の時以来になるかな。

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