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「バレエ一本にしなさい、か」

バレエの先生が、芸術に理解ないはずはない。
ヌードモデルに対する偏見もないだろうに。

ただ、認識不足はあるようだ。
美しいフォルムのために、不自然に筋肉に力が入るポーズを長時間しているのがヌードモデルだとでも考えているのだろうか？
──大部分、間違っている。
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例によって、依頼人を裸にする。

前回のＳＭ彼氏の件では、暴虐の痕がないか確認するという理由もあって被害者の肌をすみずみまで露わにしたのだが、

今回はヌードモデルの基本スタンスに関する相談だから、と納得させて、イエローのショーツ以外をぜんぶ脱いでもらった。

まあ、美しい裸身を見たいという私的な欲望も否定しないが、体を裸にしたら心も裸にできるのではないか？ なんて都合のいいことも考えている。
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ショーツ一枚の姿になった美少女に、自然に立つように指示した。

すると、思惑どおり、まっすぐには立たない。

軽く腰をひねり、少しだけ胸を張った。

まあ、初めてビキニの水着姿を見られる女子高生でもガチガチの直立不動になるはずもないし、
ましてや彼女はヌードモデルだ。
条件反射でポーズしてしまうだろう。

「うん、きれいなポーズ。
ところで、いま、お尻とかキツい？　どこか慣れない筋肉使ってる？」

私の問いに理恵ちゃんは首を振った。

そこで、気をつけを命じた。

えーっ？という表情で、しかたなく一本の柱のようになる。

そのとたん、ヌードモデルが、恥ずかしい、とつぶやいた。

パンツ穿いてるよ、と私が言うと、

だから、かえって恥ずかしいです、と答えた。

そう、それでこそ正真正銘のヌードモデルだわ。
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