碧い雨の夜に…
第2章 【本能的に……】
「ダメだよ、ナオが風邪ひいちゃう」
腕や冷たくなった頬を擦って温めようとする私にナオも嬉しそう。
一瞬で出来上がる2人だけの世界に
「良かったら一緒に飲みません?」と仲間が誘ってくれたけど、明日も撮影あるかもだし少しほろ酔いな私はナオに抱き着いて「ダメ!」と言った。
皆と居たら皆が100%ナオのこと好きになる。
これは私だけの特権なの。
見ても良いけど中身を知ろうとしないで。
「帰る………ナオと帰る」
「え?リセちゃん、私そんなつもりじゃ……まだ飲んでて良いよ?ほら、お店戻ろう?」
子供みたく聞く耳を持たない私に周りは呆れ果てているだろう。
理世ってこんな甘えたりするんだ?って声も聞こえてるけど。
そんなのどうでもよくなるくらい私は早くナオと帰りたかった。
この顔見たら凄く甘えたくなる。
独り占めしたくなる。
「じゃ、ナオさん、理世のこと宜しくお願いします、またいつか飲みましょ!」
私のカバンを持ってきてくれてやっと2人きりになれる。
そしたら横から私の腕を取るのはずっと後ろに隠れてたアキラだ。
(え、なに?)と思ったら、ナオの方を見ていて。
「こいつ、酔うと何処でも寝ちゃう奴なんで家まで一緒に送りますよ?男手あった方が良いと思うし、あの、本当送ったら帰るんでそこは信用して欲しいって言うか…」
ナンパしてた相手によく言えるなって思ってたけど、私の身体をグッと抱き寄せてアキラの手を払ったのはナオだった。
そんなナオに全てを委ねてる私はもうすでにうつらうつらしている。
だからどんな顔して言ってくれたのかはわからない。
「私一人で充分です、あまり男の人に家知られたくないので、お気持ちだけ頂いておきますね」
一瞬空気がピリついた気がしてハッと起きた。
「ナオ…?帰る?」
「うん、帰るよ、歩ける?大丈夫?」
「うん、大丈夫」
良かった、いつもの顔だ。
皆ともバイバイしてフラつく私を支えながらナオと歩いていく。
すぐにナオがタクシーを捕まえてくれたけど、乗り込む前に私からキスしてしまった。
待てなかったの、ごめんね。
ガッツリ最後まで皆に見られていたのは後から知って消えてしまいたいくらい恥ずかしかったけども。