碧い雨の夜に…
第1章 【衝動的に……】
「え、理世もう帰るの?送るよ」
「いらない〜1人で帰るから大丈夫」
「え、理世さんもう帰っちゃうんですか?ご飯行きましょうよ〜」
「あ〜ごめんね?この後打ち合わせあるからまた今度行こうね」って可愛く断って。
「打ち合わせ場所まで送る」と言うアキラには「全力で遠慮します」
「理〜世〜何で?俺、今日バイクだし」
「いやいやいや、何これ?ヘルメット?ねぇ、私普通に電車で行けるし」
「俺は常に理世の分のヘルメットは用意してるからね?偉い彼氏だろ?褒めて褒めて〜」
此処に居るダンサーたちはほとんどプロダクションに所属していて、個々に仕事を振り分けてもらえる。
個人で振り付け依頼されている仕事なのでその打ち合わせなんだけど、こうしていつもアキラは何かと絡んでくるのも慣れてきたと言えば慣れてきた。
サッと携帯を見せてナビを頼むとニッコリ笑って機嫌良いね。
送迎の許可が下りたんだもん、私も諦めてヘルメットを被る。
ホンダCB400 fourに乗る2人を見送ってくれる仲間たち。
頼んでもないけど親切心(?)で動いてくれるからいつの間にかそっちに流されてて「じゃ、お願いします」ってなってるんだけど、だからそこをつけ込まれてるって言われたら反論は出来ない。
喧嘩はしたくないし、仲間だし、悪い奴ではないことは確かだし。
思わせぶりな態度取ってるんだとしたら改めないといけないね。
そういうの面倒臭くて今まで来ちゃったんだけど。
「なぁー!終わったらメシ行かねぇ?」
走りながらアキラが話しかけてきた。
「そういやさー!ナミちゃんがアキラと行きたがってたよ?連絡してあげたら?」
露骨に話を変えて怒ったのかな?
お腹に回してた手をギュッときつく握ってきた。
丁度信号待ちになって停車して、後ろを振り返ってきた。
ナミちゃんって後輩でアキラに憧れてる子。
諦めないでやって欲しいって私から言っちゃった。
アイツ、マジで幼馴染み拗らせてるからって。
恋愛感情はお互い一切ないよって宣言しちゃったくらい。