碧い雨の夜に…
第2章 【本能的に……】
「もう皆にナオ見られたけどね、私こそナオが良ければ一緒に帰りたいよ、でも無理はしないで」
「リセちゃん、生徒さんとかにもモテてそう、格好良いもん、毎回動画見てるよ、マジで格好良過ぎる」
「んふふ、ナオに言われたらずっとニヤけちゃいそう、今日ヤバいじゃん」
「だからボクもこっそり行って皆のリセちゃん見てみたい」
「ナオこそ凄く可愛いから超絶目立ってて皆に見られるから心配、来るまで絶対にナンパされるじゃん」
「エヘヘ、ボク、可愛い?」
「うん、昨日もヤバかった」
「わかった、じゃ、今日は抑えめで行くね」
「抑えめ!?そんなこと出来るの?うん、抑えめでお願い!」
2人の何気ない会話をまさかこんな形で実現させてくれるとは頭の中がお花畑の私には想像も出来なかった。
「ちょっと、昨日のはどういうこと!?」と飲みメンバーからの事情聴取で始まったレッスン日。
「彼氏って言うけど女の子じゃん、そっち系だったの?」とかやっぱそうなるよね。
もうこの際そんな噂立ててくれても良いよ。
彼氏作らなかった経緯にも、アキラになびかなかったことも説明がつくでしょ。
「どうもこうも、そのままだよ、ナオが彼氏で私が彼女」
着替えたら早速今日のスタジオ日程表をチェックしストレッチに入る。
皆も同じことをしながら会話は昨日のことオンリーだ。
今日は離してくれそうにないな。
一人のダンサー仲間が耳元で恥ずかしそうに「お、女の子とエッチしたの?」って聞いてくる。
なんか、面白くなってきたから乗っかってみようかな。
「え、普通でしょ、好きになったら」
「マージーかー」と一人で妄想して真っ赤になってる。
女の子だけど、ついてるのって言ったらどうなるのか見ものだけどね。
私はナオの生き方自体を尊重したいの。
私なんかより断然格好良いよ。
それを知ってるのは今のところ私だけで良い。
皆にも知って欲しいけど惚れられたら困るもん。
遅れてアキラがやって来た。
遅刻なんて珍しい。
時間的には遅刻じゃないけどギリギリ入ってくるのは初めてかも。
バチッと目が合って小さく「…オス」と言われた。
元気のないアキラを周りは黙って見守る感じで私も正直どうすべきかわからない。