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碧い雨の夜に…

第2章 【本能的に……】






「え…?振り付けオファーですか?私に?」




「締め切り4日後なんだけどいける?」




「えっ!?4日間で一曲丸々振り付けですか?え?BLOOM?K-POPじゃないですかぁ!?」




「そうだよ、大手事務所から直々に理世指名でオファーだよ!やる?やらない?」




BLOOMとは韓国のガールズグループで5人構成。
今や飛ぶ鳥を落とす勢いのあるグループだ。
ダンサーで知らない人は居ないんじゃないかな。
そんなグループの振り付け担当!?
え、新曲聴けんじゃん……てそんな場合じゃなくて!




「やります、やらせてください!」




「そうこなくっちゃ!うちから凄いコレオグラファーが誕生しちゃうわ!」




普通に、人生が一変するかも知れない。
それくらい成功したらインパクトあるだろうな。
ダンサー人生賭けて挑むことになるだろう。




「倒れないでよ?」の一言に、もうアドレナリンが出ている私はこう答える。
「大丈夫、天才なんで」って。




コーチングが終わればスタジオに籠もった。
振り付けオファーが来たことも皆の耳に入って応援してくれている。
(お、振り付けしやすいサウンドだ)
イントロからしてダンスナンバーな曲の仕上がりに血が騒ぐ。




締め切りは4日後と聞いたけど、2日で仕上げてやる。
寝る間も惜しんで何度も聴いて自分に憑依させる。




(ごめんね、スタジオ泊まるかも)とナオにメッセージを送ったが、ご飯を食べながらビデオ通話した。
曲もかけて一緒に聴いて途中まで出来てる振り付けを見せたりもした。




「すごーい!格好良い!」




イントロ部分の振り付けだけだけど大絶賛してくれてホッとした。
顔を見るとやっぱり触れたくなるね。
会話が途切れるとお互い柔らかい表情で見てる。




背景が自分の家っていうだけですっ飛んで帰りたくなる。
自分の家に居るのに会えないもどかしさ。




__リセちゃん、ボクも今日、メンズとして初めてカメラの前に立ったよ




「え、凄いじゃん、緊張した?」




__思いのほか堂々と出来た




「へぇ〜そっちの方が合ってるの?」




__わからない、エヘヘ、どっちでも堂々と出来る




「そっか、じゃ、やっぱりそれが天職なんだよ、ナオにとって」









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