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碧い雨の夜に…

第3章 【必然的に……】






帰ってからも真剣にお勉強してる私の傍で大人しく待っててくれる。
合間の休憩で伸びした時とかにマッサージやどさくさに紛れてチュッと軽くキスしてきたり相変わらず癒やしを提供してくれている大切な存在。





「만나서 반갑습니다(マンナソパンガプスムニダ)〜!」




後ろから突然、ナオが韓国語を流暢に言ってのけたからびっくりして振り返る。
お会いできて嬉しいです、という挨拶。




「え、読めるの?」




「うーん、ボク、韓国と日本のハーフなんだよね」




「えぇっ!?そうなの!?言ってよ!」




「エヘヘ、ごめんね?驚かそうかと思って」




「え、じゃあ普通に喋れたりするの?」




「まぁ、父親が韓国人だから日常会話程度だけど一緒に住んでた時は父親とは韓国語だったよ」




そうか、そうだったんだ。
またひとつ知れた。
韓国と日本のハーフなんて、凄過ぎる。
めちゃくちゃお母さん美人なんだろうな。
父親似ならめちゃくちゃイケメンなはず。
ご両親は今、韓国のスウォン(水原)市に住んでいるみたい。




だから同棲する時に挨拶出来なかったんだ。
私の親だけで「ボクの方は大丈夫」と連絡取ってないみたいな雰囲気だったからあえて追求しなかったけど。




17歳の時に向こうで今の事務所の社長にスカウトされたんだって。
日本に来て仕事してみないかって言われて高校卒業と同時に来日した。
親の反対を押し切って来たって言ってたけど、社長が何度もご両親に説明をして承諾を得てたことは後から知ったみたいで。
あまり良い形で親元を離れた訳じゃないし、結果も出せてない状態でずっと帰ってないって。




でも、私と出逢った時、一度だけ事務所に手紙で祖母が亡くなったという知らせがあって葬儀の日時が書かれていた。
帰るよう説得され帰ったが悲しみのあまり顔向け出来なかったと。
女の子としてモデルをしていることも両親には話せてなかった。
親子らしい会話も出来ず骨になった祖母の前で泣き崩れるしかなく、その日その足で飛行機で日本に帰ったと。
その日に拾ったんだね、私は。




気が付いたらあの場所に居ただなんて運命感じちゃう。









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