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秒針と時針のように

第6章 秒針が止まるとき

 カチカチカチカチ。

 秒針は時針の回りで目まぐるしく喧しく回る。
 時針を追いかけては懸命に。
 終わることのない鬼ごっこ。
 秒針は気づかないんだ。
 時針が少しずつ動いていることを。
 だって余りに世界は目まぐるしい。
 止まって考える暇なんてないんだ。
 一秒たりとも。
「お前はどうしたいんだ」
 だから果てなく時針に問いかける。
 自分にも。
 何を目指す?
 どこに行きたい?
 って。
 答えが帰ってきたところで満足も納得もしないくせに。
 スキ。
 キライ。
 スキ。
 キライ。
 それは花占いの延長線上でのたうち回る。
 スキ。
 キライ。
 ナントモオモッテナイ。
 カクシテルダケ。
 何択にしたところで変わらないのに。
 けどそこにこれは含まれない。

 キカズニオワル。

 そう。
 秒針は当たり前に時針を追いかける。
 その存在は自分のそばに必ずしもあるって信じて。
 スキ。
 キライ。
 スキ。
 キライ。
 そんなことをしている間に大切なものが少しずつ傷ついていることにも気づかず。
 気づかないふりをして。
 ずっと一緒だよって。
 なにかを期待しながらなにもせずに。

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