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再婚

第1章 家族

俺は、新しく母親となった優香には好かれていなかった。
優香は、父親の前ではいたって普通に俺と話すし、笑顔で話すこともあったが、父親がいないと、必要最小限の会話しかしなかったし、俺に対して笑顔を見せることもなかった。俺も、優香に対しては、最初こそ話しかけたが、今はもう、自分から話しかけることはほとんどなかった。

俺は、優香のことを『おばさん』と呼んでいた。父親は、最初のうち、

「お母さんと呼べ!」

と言っていたが、最近は諦めたらしい。

優香も、

「いいのよ!」

と、明るい口調で言っていたが、顔は笑っていなかった。

今では、俺が優香をおばさんと呼ぶことに、誰も違和感を感じなくなっているように見えた。

優香とは対称的に、沙耶は、明るく天真爛漫で、誰とでも、相手がどんな反応をしても気にせず、楽しそうに話す、かわいい娘だった。

沙耶は、俺のことをなお君と呼び、俺は最初から、沙耶と呼んでいた。優香には、娘を呼び捨てにする俺の呼び方も気に入らなかったかもしれない。

おそらく、優香からすると、俺は生意気だったのだと思う。

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