もうLOVEっ! ハニー!
第8章 優越鬼ごっこ
「お前やっぱクズだな。変わんねえよ」
怒りがある程度を達すると、感情の高ぶりで涙腺が緩む。
つばるは眼頭に力を込めて、息を吐いた。
後悔していた。
ノックをしたことを。
今のかんなと二人きりになったことを。
「私……私……」
それはかんなも同じだった。
何を口走ったのか。
ただ誰かに美弥に対する罪悪を共感してもらいたかっただけなのに。
そうだ。
今の彼女には落ち着きが必要だった。
それなのに。
かんなは長い髪を両手で搔き上げながら目線を泳がせる。
それなのに、勝手に妄想して決めつけてつばるまでを傷つけてしまった。
一番言われたくない言葉で。
無言がじわじわと二人の負を助長していく。
居心地は最悪だった。
それでも、どちらも場から離れることは出来なかった。
「……何があった」
呟くようにつばるが言った。
唇が重い。
「つばるには……関係ないです」
流石に沈黙を続けられはしなかった。
つばるは勢いよくかんなの肩を突き飛ばし、ベッドに組み敷いた。
タオルが落ちる。
意識の外でぎりぎりと手に力が籠る。
かんなは痛みに眉を潜めた。
「忘れたんですか。やくそ」
「それを差し引いても我慢なんねえからこうなってんだろうが」
威圧する怒気。
かんなはぐっと唇を噛みしめた。
「云えよ」
手が首に伸びる。
ぞくりとした。
絞められるなんて思ってはいないが、かんなは体が緊張していくのを感じた。
「ただ、私が美弥さんを傷つけたんです」
「何して?」
語尾に重なるように質問を重ねる。
「先輩が、私にキスしていいかって言ったんです」
「それで?」
「それでって……」
横たわったまま顔を背ける。
「したのか」
「なんでそんな言い方……っ」
ギシリ。
つばるが緩慢に、かんなから離れた。
「したのかよ……」
トンと壁にもたれる。
眉間を押さえてつばるはぎゅっと眼を閉じた。
自分を鎮めるように。
「なんでだ……なんでだ? わかんねえ。お前一体何がしたいんだよ。女王女王言われて正にそうなっちまったのか?」
苛々と早口に。
自分でも何故こんなに苛ついてるのかわからないまま。
「わかんないです……」
「誤魔化すなっ!」
びりっと空気が振動した。
思った以上に声を荒げてしまったつばるが、急いで口に手を当てた。
怒りがある程度を達すると、感情の高ぶりで涙腺が緩む。
つばるは眼頭に力を込めて、息を吐いた。
後悔していた。
ノックをしたことを。
今のかんなと二人きりになったことを。
「私……私……」
それはかんなも同じだった。
何を口走ったのか。
ただ誰かに美弥に対する罪悪を共感してもらいたかっただけなのに。
そうだ。
今の彼女には落ち着きが必要だった。
それなのに。
かんなは長い髪を両手で搔き上げながら目線を泳がせる。
それなのに、勝手に妄想して決めつけてつばるまでを傷つけてしまった。
一番言われたくない言葉で。
無言がじわじわと二人の負を助長していく。
居心地は最悪だった。
それでも、どちらも場から離れることは出来なかった。
「……何があった」
呟くようにつばるが言った。
唇が重い。
「つばるには……関係ないです」
流石に沈黙を続けられはしなかった。
つばるは勢いよくかんなの肩を突き飛ばし、ベッドに組み敷いた。
タオルが落ちる。
意識の外でぎりぎりと手に力が籠る。
かんなは痛みに眉を潜めた。
「忘れたんですか。やくそ」
「それを差し引いても我慢なんねえからこうなってんだろうが」
威圧する怒気。
かんなはぐっと唇を噛みしめた。
「云えよ」
手が首に伸びる。
ぞくりとした。
絞められるなんて思ってはいないが、かんなは体が緊張していくのを感じた。
「ただ、私が美弥さんを傷つけたんです」
「何して?」
語尾に重なるように質問を重ねる。
「先輩が、私にキスしていいかって言ったんです」
「それで?」
「それでって……」
横たわったまま顔を背ける。
「したのか」
「なんでそんな言い方……っ」
ギシリ。
つばるが緩慢に、かんなから離れた。
「したのかよ……」
トンと壁にもたれる。
眉間を押さえてつばるはぎゅっと眼を閉じた。
自分を鎮めるように。
「なんでだ……なんでだ? わかんねえ。お前一体何がしたいんだよ。女王女王言われて正にそうなっちまったのか?」
苛々と早口に。
自分でも何故こんなに苛ついてるのかわからないまま。
「わかんないです……」
「誤魔化すなっ!」
びりっと空気が振動した。
思った以上に声を荒げてしまったつばるが、急いで口に手を当てた。