もうLOVEっ! ハニー!
第13章 諸刃の剣で断ち切る思い出
つばるは無言で携帯の画面をかざした。
そこには脳みそをブラシで擦られるほど不快な顔をした勝見と舞花と、横たわる隆人さんが。
どこかの物置のような背景。
「え、倒れてんの隆にいじゃん」
美弥が即時に奪い取ったのを怪訝に見送ってから低い声で答える。
「さっき来た。特に要求もねえし、画像だけ。残念なことに、フェイクじゃないってことだな」
「え、何呑気なこと言ってんの。警察呼ぼ。その前に見つけてぶっ潰したいけど」
美弥はじいっと画面を凝視して付け加える。
「こいつらネジ飛んでる顔してる。まともに相手したら流血じゃ済まないかも。よね、こばりん」
「っすよね。言っちゃ悪いけど隆にいがやられるなんて余程だって」
「これ……証拠に警察呼べないんですかね」
冷静ながらもピリついた空気に声がまともに出ない。
「呼べはしても捜索するかわかんねえよ。この写真じゃ血も映ってないし言い逃れなんていくらでもできんだろ」
「じゃあどうしたら!」
最悪の過去が今を脅かしてる。
一刻も早くこの状況を変えたいのに。
この写真がどこかも分からない。
「落ち着いて、かんな」
美弥さんの言葉も気休めでしかありません。
苛立ちと焦りで思考が止まってしまう。
強めのノックが響いたのはその時だった。
「こういうんは人海戦術やろ」
こばるが開いたままの玄関に駆け寄る。
「先輩! 聞いてたんすか」
「一年、二年で抱え込まんと。力ある野郎どもを頼りんしゃい」
岳斗の後ろからマリケンも顔を出す。
「力だけは自信あるよ」
長身のふたりが並ぶと玄関が急に狭く感じますね。
寝起きだからヘッドホンはつけていないのですね。
「なる先生が監視カメラ調べてる。守衛さんも一階に来てるよ」
二人の影になってて見えませんが、尚哉さんの声も聴こえます。
「大人が証拠集めとる間にめぼしいとこ探そか。偵察や。こばる、その画像走って印刷してきい。五枚な」
「了解っす」
こばるが美弥から携帯を取り返して俊敏に部屋を飛び出した。
俺の携帯、つばるが小さく呟いた。
皆で管理人室前に行こうと部屋を出ながら、マリケンが思い出したように首を傾げる。
「今朝五時にはルカが隆にい見たらしいんだけど、多分今夜の天体観測の機器を準備しに行ってたんじゃないかなあって」
「そんでルカはどこおるん」
「さっき一階で見かけました」