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もうLOVEっ! ハニー!

第1章 生まれ変わり

 今日はめでたい日だというのに。
 何人かの保護者の視線が突き刺さる。
「舞花、やめなって」
「ぼろぼろに犯されたら死ぬんじゃないの。あんたなんか誰にも愛されたりしないんだからさ、さっさと消えちゃいなよ」
 じっと彼女を見る。
 茶髪にピアス。
 短いスカート。
 濃い化粧。
 どんな高校生になるのか、一目でわかる。
 貴方は変わりません。

 でも、私は違う。

 ふっと笑むと、舞花がさらに眼を見開く。
「馬鹿にすんな!」
「してないですよ」
 遠くから博也がやってくる。
 どうせ、来たら私を殴るでしょう。
 何も聞かずに。
 だから、もう行きましょう。
 松園かんな。
 新しい私がいらいらしながら待ってます。
 トンと踵で回って、走り出す。
 舞花たちの声がどんどん小さくなる。
 ローファーで地面を蹴って、蹴って。
 走るんです。
 走るんです、もっと。
 もっと。
 早く、速く。
 頭が割れるように痛んでも、この先には痛みがないから。
 きっと。
 笑いがこみあげる。
 さよなら。
 さよなら、みんな。
 中学までの関わったすべてのみんな。
 同級生も先生も。
 家族も愛犬も。
 みんな、ばいばいです。
 今日、私は消えます。
 生まれ変わるために。
 過去の自分とおさらばです。

 はあはあと息を荒げて、目当ての場所を見上げる。
 電車を乗り継いできた、果ての場所。
 県も超えました。
 もう、誰も着いては来ません。
 ここが、新しい私の生まれた場所ということになりますね。
「宜しくお願いします!」
 華海都寮。
 全寮制学園、紗原学園の隠れ寮です。
 正規の寮ではないのです。
 今日から、私の家。
 管理人さんの部屋に、れっつごーです。

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