もうLOVEっ! ハニー!
第5章 悪戯ごっこ
こばるにとって岳斗は一年の時から可愛がってくれる兄のような存在だった。
陸と岳斗の二人が一番腹を割って話せる人間だ。
そう。
家族みたいなものだった。
だから、つばるのことはちゃんと話しておこうと思った。
「ガク先輩」
「なあ、こばる」
被った。
「あ、ええで。先で」
「え、すみません。その……実はつばるってオレの弟なんですよ」
「弟分?」
「いや、血の繋がった……」
「マジか」
ペットボトルの蓋を捻り空け、コーラを飲む。
「お前がいること知ってて?」
「違うみたいっすけど。家族から離れたかったみたいで」
「さすが兄弟」
「最悪っす」
「仲悪かったんや」
「そりゃもう最悪っす」
風が吹いて窓が揺れる。
二人は何の気もなくそれを眺めた。
「それでセンチメンタルジャーニー?」
「そんな感じです」
少し声色を変えて岳斗が尋ねる。
「そいつの部屋は?」
「ああ、えっと。かんなの向かいの壱〇二号室です確か」
「遠いなー……」
「先輩二〇九ですもんね」
残りのコーラを一気飲みしてぷはーっと息を吐いてから立ち上がった。
こばるも腰を上げる。
足元の道具を片付けて二人で部屋を出る。
「忘れるとこやった」
岳斗がポケットから何か取り出す。
「お土産」
「わーすげー偶然」
棒読みで呟いたこばるの手の中でリングピアスが揺れる。
「なんで一つなんすか」
「ピアスは奇数が縁起がええんやろ」
「へー。なるほど」
鍵を閉めてから廊下を歩き出す。
そろそろ日が傾き始めていた。
あの連中ももう寮に帰っただろうか。
屋上の清も戻ったか。
上に続く階段を一瞥してからこばると下に向かう。
「今夜挨拶いってくるわ」
「殴り込みの間違いじゃないすか」
指の関節をボキボキ鳴らしながら岳斗は笑った。
寮一の背丈を持つ彼は頼りがいがある。
その背中を見ながら失いかけてた平静を取り戻す。
だがこばるは弟の問題を他人に託すのもどうかという迷いがあった。
「先輩」
立ち止まった岳斗が振り向いて微笑む。
「心配せんでええよ」
「……ウス」
言えねえ。
そんな自分が本当に情けねえ。
陸と岳斗の二人が一番腹を割って話せる人間だ。
そう。
家族みたいなものだった。
だから、つばるのことはちゃんと話しておこうと思った。
「ガク先輩」
「なあ、こばる」
被った。
「あ、ええで。先で」
「え、すみません。その……実はつばるってオレの弟なんですよ」
「弟分?」
「いや、血の繋がった……」
「マジか」
ペットボトルの蓋を捻り空け、コーラを飲む。
「お前がいること知ってて?」
「違うみたいっすけど。家族から離れたかったみたいで」
「さすが兄弟」
「最悪っす」
「仲悪かったんや」
「そりゃもう最悪っす」
風が吹いて窓が揺れる。
二人は何の気もなくそれを眺めた。
「それでセンチメンタルジャーニー?」
「そんな感じです」
少し声色を変えて岳斗が尋ねる。
「そいつの部屋は?」
「ああ、えっと。かんなの向かいの壱〇二号室です確か」
「遠いなー……」
「先輩二〇九ですもんね」
残りのコーラを一気飲みしてぷはーっと息を吐いてから立ち上がった。
こばるも腰を上げる。
足元の道具を片付けて二人で部屋を出る。
「忘れるとこやった」
岳斗がポケットから何か取り出す。
「お土産」
「わーすげー偶然」
棒読みで呟いたこばるの手の中でリングピアスが揺れる。
「なんで一つなんすか」
「ピアスは奇数が縁起がええんやろ」
「へー。なるほど」
鍵を閉めてから廊下を歩き出す。
そろそろ日が傾き始めていた。
あの連中ももう寮に帰っただろうか。
屋上の清も戻ったか。
上に続く階段を一瞥してからこばると下に向かう。
「今夜挨拶いってくるわ」
「殴り込みの間違いじゃないすか」
指の関節をボキボキ鳴らしながら岳斗は笑った。
寮一の背丈を持つ彼は頼りがいがある。
その背中を見ながら失いかけてた平静を取り戻す。
だがこばるは弟の問題を他人に託すのもどうかという迷いがあった。
「先輩」
立ち止まった岳斗が振り向いて微笑む。
「心配せんでええよ」
「……ウス」
言えねえ。
そんな自分が本当に情けねえ。