もうLOVEっ! ハニー!
第5章 悪戯ごっこ
「あ、悪い」
なにが悪いですか。
もっと他に云うことないんですか。
フツフツと怒りが湧いてくる。
伸びた髪に、刻んだ歳の醸し出す大人びた雰囲気。
あの時中学二年だった彼の面影は随分と薄い。
肩を上下して呼吸する私をじっと見つめる穏やかな瞳。
そうでした。
彼は本当に優しい目をしていたんです。
だから、私も無知のままに……
「三年ぶりか。でも変わらないね。だから校舎で会ったときすぐに気づいた。君だって」
「貴方の方こそ変わりませんね。二度と視界に入らないでほしいその風貌は一ミリも」
怒りが滲んだ醜い声。
でも、自制なんて出来ない。
だってこの男は……私の姉も壊したんだから。
「あの後姉がどうなったかわかりますか」
清龍が悲しげに口をつぐむ。
「最悪ですよね、彼氏が妹に手を出してしかも別れを切り出すなんて。三年まではよかったですよ、まだ学校で会えましたもんね。高校は突然県外に行くって言い出して……あのころから姉はおかしくなりましたよ。ええ、それはもう分り易いほど狂っていきました。毎週違う男と壁の向こうでやりまくってましたよ。いいですねえ。貴方は知らぬ顔でこの寮で高校生活満喫してたんですか。強姦罪で訴えることも出来ない小さな子供の私は泣き寝入りしかできなかったっていうのに!」
はあはあと息を吐く。
一気にぶつけた想いはどこまで考えた内容かもわからない。
もう何を喋ったのかも忘れてる勢いだけの言葉。
「……すまない」
「謝るなら姉の前で土下座してください。殺されるでしょうけど」
未だに男に溺れる生活を送る高校三年の姉。
もうすぐ十八を迎えるのに、中学三年から止まったままの精神。
家族が嫌いになったのもあの事件が決定打になった。
そう。
私の家族をめちゃくちゃにしたのは目の前の男なんだ。
拳を握りしめる。
「謝りたいとはずっと思っていた」
「謝って解決するとずっと思っていたんですね」
怖い。
怖いけど、怒りが勝っている。
だから声も震えてない。
なにが悪いですか。
もっと他に云うことないんですか。
フツフツと怒りが湧いてくる。
伸びた髪に、刻んだ歳の醸し出す大人びた雰囲気。
あの時中学二年だった彼の面影は随分と薄い。
肩を上下して呼吸する私をじっと見つめる穏やかな瞳。
そうでした。
彼は本当に優しい目をしていたんです。
だから、私も無知のままに……
「三年ぶりか。でも変わらないね。だから校舎で会ったときすぐに気づいた。君だって」
「貴方の方こそ変わりませんね。二度と視界に入らないでほしいその風貌は一ミリも」
怒りが滲んだ醜い声。
でも、自制なんて出来ない。
だってこの男は……私の姉も壊したんだから。
「あの後姉がどうなったかわかりますか」
清龍が悲しげに口をつぐむ。
「最悪ですよね、彼氏が妹に手を出してしかも別れを切り出すなんて。三年まではよかったですよ、まだ学校で会えましたもんね。高校は突然県外に行くって言い出して……あのころから姉はおかしくなりましたよ。ええ、それはもう分り易いほど狂っていきました。毎週違う男と壁の向こうでやりまくってましたよ。いいですねえ。貴方は知らぬ顔でこの寮で高校生活満喫してたんですか。強姦罪で訴えることも出来ない小さな子供の私は泣き寝入りしかできなかったっていうのに!」
はあはあと息を吐く。
一気にぶつけた想いはどこまで考えた内容かもわからない。
もう何を喋ったのかも忘れてる勢いだけの言葉。
「……すまない」
「謝るなら姉の前で土下座してください。殺されるでしょうけど」
未だに男に溺れる生活を送る高校三年の姉。
もうすぐ十八を迎えるのに、中学三年から止まったままの精神。
家族が嫌いになったのもあの事件が決定打になった。
そう。
私の家族をめちゃくちゃにしたのは目の前の男なんだ。
拳を握りしめる。
「謝りたいとはずっと思っていた」
「謝って解決するとずっと思っていたんですね」
怖い。
怖いけど、怒りが勝っている。
だから声も震えてない。