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もうLOVEっ! ハニー!

第6章 思惑先回り

「凄かったな。薫ちゃん」
「そ、そんなことないです……全然」
 試合終了後、真っ先に陸に褒められた薫が顔を赤らめてぶんぶん首を振る。
 そんな乙女らしい仕草に似合わぬ結果となりましたが。
 ステージに浮かんだトーナメント表。
 新入生が勝ち上がったバレー。
 私は無我夢中でセッターでボールを上にあげることしかできませんでした。
「かんなっ。大活躍だったね! ボク見惚れちゃったよ」
 それでも美弥さんに抱きしめられてうれしかったです。
「お疲れ様、みんな」
 現れた隆人が差し入れのアイスを配る。
「隆にい太っ腹~! ぷにぷにー」
 言いながら隆人の腹を突っつく美弥がまた頭をぐりぐりされる。
 アイスを咥えて私はベンチに座った。
 すぐに隣にこばるが来た。
「お疲れ、JCかんなちゃん」
「もうJKになりましたよ」
「ははっ。確かに」
「こばるさんこそお疲れ様です。フリースロー最高に恰好よかったです」
「マジで。やべえ、嬉しい」
 鼻を擦って照れ隠しするこばる。
 私はアイスをかじって空を見上げた。
「いいですねえ」
「そうですねえ」
 私の口調を真似しながら背後から現れたつばる。
 びくりと振り返ったのはこばるも同じ。
 空気が一瞬で凍る。
 だが、当の本人は気にしない風に近づいてきた。
「命令決めましたか、センパイ」
 明るい口調で。
 ブドウ味のアイスを舐めながら。
 こばるは肩の力をなんとか抜きながら座りなおす。
「一応な」
「へえー。閉会式の後に聞かせてくださいね」
 私は一瞬たりともつばるを見れなかった。
 けれど、彼はそれを知っていてからかうように去り際に私の首を撫でていった。
 指先で。
 ぞくりとした悪寒に崩れこみそうになる。
 ハアハアと酸素を求めて深呼吸する。
「か・ん・なー! って、こばりんてめえ! なにかんな喘がせてんのっ」
「誤解だって!」
 駆けつけてきた美弥が私を支える。
「だいじょぶ?」
「ええ、平気です……」
「んーん。嘘はばればれ。隆にいー! かんなとボク閉会式サボりまあす」
 レモン味アイスを咥えた隆人が無言で頷いた。
 いいんですか。
 適当ですね。
 そのまま美弥と寮に戻る。

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