もうLOVEっ! ハニー!
第6章 思惑先回り
「午後は女子やな」
岳斗の言葉に思い出す。
「今年はかんなと薫と、在校生からは蘭と茜だっけ」
「そうなんですかっ」
三年の二人を見ると楽しげに口を持ち上げた。
「ええ。手加減はしませんわよ」
「ふっふー。楽しみだねえ」
薫と顔を合わせる。
互いに青かった。
バレーのコートってあれですよね。
この高さからもう悪意感じますよね。
セッターの位置についた私は白い網を見ながら絶望していた。
大体身長より高い障壁を隔てて相手とどうやって戦うっていうんですか。
バレーを生み出した人は頭おかしいです、きっと。
「松園さん、いきますよ」
第一サーブの薫が声を上げる。
私は何も準備できていないまま頷いた。
網越しで蘭がくすくす笑っている。
「せーの」
そんな場違いな言葉と共にボールを送り出した薫が先制点を取った。
剛速球。
私の目にはそう見えました。
茜のすぐ脇に落ちたボール。
誰も動けないほどの勢いとスピード。
審判から替えを受け取った薫が遠慮がちに笑う。
それから一変して冷たい声で言った。
「手加減なしなんですよね。私中学の頃関東大会で優勝してるんですよ、バレー。ふふ……先輩方、よろしくお願いします」
あ。
腹黒。
美弥が「やはり」という顔で薫を見つめている。
「上等じゃーん。攻略させてもらうよ」
茜がレシーブを構えて挑発する。
ああ、あれですね。
この試合も荒れますね。
私は関与しませんが。
「せーの」
今度は観客も声をそろえた。
ええ、あれですね。
新たなアイドルの誕生の瞬間みたいですね。
生徒の視線は薫に集まった。
今度の球は茜が捕らえる。
高く上がったボールを蘭が上手く受け止め、アタッカーに回す。
「ていっ」
見知らぬ上級生が打った球は薫の腕で跳ね、戻った。
「やるねっ」
茜が走って追いかける。
後ろ向きに受け止めたボールが高く飛ぶ。
全部を私は観客のように眺めていた。
岳斗の言葉に思い出す。
「今年はかんなと薫と、在校生からは蘭と茜だっけ」
「そうなんですかっ」
三年の二人を見ると楽しげに口を持ち上げた。
「ええ。手加減はしませんわよ」
「ふっふー。楽しみだねえ」
薫と顔を合わせる。
互いに青かった。
バレーのコートってあれですよね。
この高さからもう悪意感じますよね。
セッターの位置についた私は白い網を見ながら絶望していた。
大体身長より高い障壁を隔てて相手とどうやって戦うっていうんですか。
バレーを生み出した人は頭おかしいです、きっと。
「松園さん、いきますよ」
第一サーブの薫が声を上げる。
私は何も準備できていないまま頷いた。
網越しで蘭がくすくす笑っている。
「せーの」
そんな場違いな言葉と共にボールを送り出した薫が先制点を取った。
剛速球。
私の目にはそう見えました。
茜のすぐ脇に落ちたボール。
誰も動けないほどの勢いとスピード。
審判から替えを受け取った薫が遠慮がちに笑う。
それから一変して冷たい声で言った。
「手加減なしなんですよね。私中学の頃関東大会で優勝してるんですよ、バレー。ふふ……先輩方、よろしくお願いします」
あ。
腹黒。
美弥が「やはり」という顔で薫を見つめている。
「上等じゃーん。攻略させてもらうよ」
茜がレシーブを構えて挑発する。
ああ、あれですね。
この試合も荒れますね。
私は関与しませんが。
「せーの」
今度は観客も声をそろえた。
ええ、あれですね。
新たなアイドルの誕生の瞬間みたいですね。
生徒の視線は薫に集まった。
今度の球は茜が捕らえる。
高く上がったボールを蘭が上手く受け止め、アタッカーに回す。
「ていっ」
見知らぬ上級生が打った球は薫の腕で跳ね、戻った。
「やるねっ」
茜が走って追いかける。
後ろ向きに受け止めたボールが高く飛ぶ。
全部を私は観客のように眺めていた。